insight時代のBrand Plan
- Pts journeyの定量化
- Pts journeyの定性化
- Pts journey定性調査、医師インタビュー
- Pts journey定性調査、患者インタビュー
- Pts journey定量調査、その前に
- Pts journey、医師定量調査
- Pts journey、患者定量調査
- 調査結果をもとにPts journey定量化
- 定量化pts journeyとForecastモデル
- Pts journeyにinsightを!
- Current/desired peceptionを考えよう
- Insightワークショップをやってみよう!
- Segmentation、言うは易く行なうは難し
- Brand strategy:戦略って?KSF/CSFって?
- Sales Force Sizing:MRを何人に?(Digital時代を意識しながら)
- Data generation : Brand Teamでどう取り組むか?
- Data generation workshopをやってみよう
- Brand Planまとめ:Senior managementへのプレゼンをしよう!
今回のテーマは「Pts journey定性調査、患者インタビュー」です。市場調査は特に好きなので、ついつい長くなってしまいます…このペースだと製品Xの発売までに記事が何本になるのか?と自分でも心配になのですが、楽しみながら記事を書いていこうと思います。
Brandによっては、患者が治療、処方への医師決定関与が少ない場合は患者調査をわない場合もあるのですが、Insight Marketing時代はPts focus →患者ニーズをしっかりと理解し、時には医師が理解していない、認知していない患者ニーズが処方獲得&pts outcomeの向上につながることもよくあるので患者調査は大事だと思います。もちろん、希少疾患で患者のリクルートができない場合は、患者会から起縁で紹介してもらったりもできますし、それも難しくて調査自体ができない場合は患者のTwitter、ブログからの情報収集で代用したりします。市場調査でも、患者会、SNS検索でも患者さんのPts journey、unmet needsを知ることはとても大事なのは言うまでもないと思います。
患者インタビューもPts journeyに沿って患者さんにインタビューするのが定石です。今回は
- 花粉症で抗ヒスタミン剤処方薬服薬患者(5名)
- 花粉症で処方薬を服薬していない患者(5名)
の合計10名をインタビューするのですが、ここでは「花粉症で抗ヒスタミン薬の処方薬を服薬した患者」についてのディスカッションフローを考えていきましょう。「花粉症で処方薬を服薬していない患者」も基本的には同じ流れですので。
Warm-up、ラポール形成(5分)
家族のこと、仕事のことなどを雑談してicebreakする時間
花粉症の症状とそれについて取った行動について(15分)
- はじめて花粉症の症状を自覚したのはどんな症状?
- それは何年前か?
- 最初に症状を感じで、そのあとどんな行動をしたか?(直ぐに病院?まずはサプリ?市販薬?等々
花粉症の患者さんは長いこと花粉症を毎年経験していると思いますが、その人が初めて花粉症の症状を自覚して、その後、どういう行動をとった(病院に行くまでの期間)を聞きます。
例えば私は物心ついてからずっとギ花粉症で、目の痒み、朝起きたら目ヤニで目が開かないほどで、子どもの頃はずっと我慢していて、病院に行くという発想も私も親も当時はありませんでした。そして1-2か月して春が終わるまで我慢したら花粉症の季節は終わる、というのを繰り返していました。
最初に花粉症で病院へ+処方薬(15分)
- 花粉症で病院に行こうと思ったきっかけは?
- どこの病院に行きました?その理由は?(誰かの紹介?とか)
- そこで医師に何を言われたか?(診断された?)
- どんな薬を処方されたか?(飲み薬、点鼻、点眼、分かればブランド名も)
- 薬を飲んでどうだったか?
私は高校生になるとさすがに勉強に集中できない、など不都合があり、ようやく病院に行きました。同級生が処方薬を飲んで良くなったから、ってのを聞いてその人と同じ近所の内科クリニックにいったと思います。もう30年前なので、どんな薬を貰ったかは覚えてませんが、飲み薬、点鼻、点眼薬をもらいました。薬を飲んだら劇的に効果を感じました。
製品Xの場合は、まずは「競合の抗ヒスタミン薬からいかにシェアを奪うか=Brand Choice」が主戦場ではありますが、通院患者を増やすことも将来的には大事になる可能性もありますし、情報をとっておいて損はありません。(こういう画期的な新薬は外資系だとGlobalがやれることは何でもやれ!と圧を掛けてきますし)
現在の花粉症の毎年の治療と処方薬(15分)
- 今も毎年花粉症で通院して、処方薬をもらっているか?
- 毎年続けているなら、その理由は?
- 通院しないこともあるなら、その理由は?
- どんな薬を処方されているか?(飲み薬、点鼻、点眼、分かればブランド名も)
- その感想は?
- 来年はどうするか?
私はその後は毎年、病院にいって90日分の薬を(安くするために)一度にもらって2月から4月末まで服用しています。飲み薬はザイザル、点鼻薬はナゾネックス、点眼薬はパタノールをもらっています。効果は満足して、ほぼ内服薬だけで大丈夫ななんですが、花粉飛散予報で大量飛散が予想され外出しないといけない日は点鼻薬をしてから外出してます。点眼薬は痒くなったら、ですね。それでほぼ鼻が詰まることはないのでありがたいです。毎年このパターンで通院服薬しているので、来年からもずっとおなじことを繰り返すと思います。
*事前に薬の写真を撮ってもらうとかしてBrand名が分かるようにする方法もあります
さて、ここまで聞いて50分。ここでもせっかくなので、医師インタビューの時と同様に「製品X」についても聞いておきましょう。
製品Xについて(20分)
この段階での製品Xのprofileは医師に提示したのと同じ、このくらいのものを提示します。患者さんにも分かりやすいように改変する必要はあります。
作用機序:抗ヒスタミン薬(処方される花粉症の飲み薬の多くは抗ヒスタミン薬)
用法用量:1か月に1回(1回飲むと効果が1か月持続)
適応はアレルギー性鼻炎(多くの抗ヒスタミン薬と同じ)
安全性、副作用は既存の飲み薬と同程度
1日あたりの薬価は100円(患者の自己負担は3割負担で1日30円=1か月約900円)
(既存のものより1.5倍程度)
「このような薬があったらどう思いますか?」とここでもまずは自発的な意見を聞きます。どくに気になったことは?などProbeをするのは医師調査と同じです。ただ患者さんは医師と違って薬に詳しいわけではないので、言葉に詰まったら、助成して聞く必要が多くあります。
- 製品Xを使ってみたいと思いますか?その理由は?
って聞いても詰まる場合も多いから、医師の時と同じように提示資料を作るのが有効です。具体的には「製品Xを積極的に服用してみたい患者のコメント」と逆に「製品Xを積極的に服用したいと思わない患者のコメント」を提示して感想を話してもらうと、だいぶ回答しやすくなりますし、製品特性をみただけでは気が付かなかった製品Xのいいところ、悪いところもこの資料をみたから気が付くこともあるのは医師インタビューの時と同じですね。
Pts journeyの調査結果をどう報告書でまとめるか?
Pts journeyの医師・患者調査のディスカッションフローの案の説明が終わったので、報告書をどのようにするか?も説明しておきます。Pts journeyに沿ってディスカッションフローを組んだので、Pts journeyのmoment毎に医師/患者の発言→その時の気持ち、Unmet needs, driver/barrierを整理して報告書にしてもらうのがお勧めです。あとは調査会社から発言録をもらっておくのも忘れないでください。後になってInsight generation workshopなんかで「生の発言は何だったっけ?」って思うことがたまにありますし、MRへの説明資料なんかに「医師の生の発言」を使うと生々しさ故、伝わりやすいこともあります。報告書のPowerPoint のテンプレートですが、テンプレートが変わると図表をコピペした時に色やフォントが変わってしまうので、最初から自社のテンプレートを調査会社に送って、自社のテンプレートで報告書を作ってもらうのもお勧めです。
どこまでは製薬会社内の市場調査担当者の仕事か?
医師、患者のPts journey調査の流れ、質問、報告書の内容を書いてきましたけど、どこまでが製薬会社の市場調査担当者の仕事なんでしょうか?調査会社との仕事の境目はどこなんでしょうか?
今回の製品Xのように、新製品発売の2年前くらいに「発売までの2年間の調査をひとつの調査会社に依頼してパートナーとして仕事をしてもらう」ことがあると思います。この場合は、コンペをしてどの調査会社に依頼をするかを決めることが多いのですが、この場合には製品XのBrand teamと調査会社の担当者はかなり密に仕事をするようになりますし、相互理解もかなりしっかとした上で調査設計ができるので、上記のような調査の概略「Pts journeyにとって定性・定量調査をしたい」と指示するだけで、私が記事に書いたような調査設計=Brand launch planも鑑みた調査内容がスパッと出てくるのが理想です。その為には
- 調査会社の担当者がBrand teamの一員としてWorkshopや会議に参加する
- 調査会社の担当者がその会社のBrand planのフローを知っている
必要があるので、そうなるとほぼその製薬会社に常駐することになり(稀に常駐するケースもありますが)現実的には難しいです。Launchまでの包括契約だっとしても、製薬会社の調査担当者が私が書いたくらいの内容を口頭でもいいので、調査会社に説明しないと、期待した調査実施、分析、報告書は難しいと感じています。
Launch前の一括契約じゃない単発の市場調査ですと、さらに調査会社の人の当該疾患への理解、調査の目的などが伝わり辛いので、そこは製薬会社の調査担当者がさらにしっかりと調査設計に関わっていく必要があります。私は定性調査のディスカッションガイド、定量調査の調査票も、調査結果をどう使うか?のイメージが明確なので、自分自身で全部書くことがほとんどでしたが、それはさすがにやり過ぎと自覚はありますが、とはいえ市場調査担当者は自分で調査票を書くことができる、報告書を書くことができる、レベルのスキルは持っているべきと思います。
米国の場合は製薬市場調査会社がかなり戦略まで入り込んで、その製薬会社内の調査担当者、時にはBrand Managerのような仕事をしていることがあるのですが、日本ではそこまで製薬会社内に入り込んでいる調査会社はほぼないと思います。特にLaunch時は一時的(1-2年)製薬会社のBrand teamの負荷がかかるときに、調査会社の人が米国のように深く製薬会社に入り込んでいくというビジネスがもっと進んでもいいんじゃないかな?と思っていますし、そういう時代が近い将来くるかもしれませんね。
次回の記事はPts journeyの定性調査の結果が出たら定量調査(Web調査)をする前にすることです。
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