insight時代のBrand Plan
- Pts journeyの定量化
- Pts journeyの定性化
- Pts journey定性調査、医師インタビュー
- Pts journey定性調査、患者インタビュー
- Pts journey定量調査、その前に
- Pts journey、医師定量調査
- Pts journey、患者定量調査
- 調査結果をもとにPts journey定量化
- 定量化pts journeyとForecastモデル
- Pts journeyにinsightを!
- Current/desired peceptionを考えよう
- Insightワークショップをやってみよう!
- Segmentation、言うは易く行なうは難し
- Brand strategy:戦略って?KSF/CSFって?
- Sales Force Sizing:MRを何人に?(Digital時代を意識しながら)
- Data generation : Brand Teamでどう取り組むか?
- Data generation workshopをやってみよう
- Brand Planまとめ:Senior managementへのプレゼンをしよう!
前回の記事でPts journeyの成功のための優先度が高いmomentにおけるKey stakeholder(医師・患者)をinsightを作成しました。製品Xの成功に関係するmomentは
- Seek treatment :症状を感じたら花粉症で通院する
- Brand Choice:医師が抗ヒスタミン薬の中で製品Xを処方する
- Taking frequency:服薬回数/花粉症シーズン(1回 or 2回)
- Pts acceptance:製品Xの患者受入
を挙げまして、全部のkey stakeholderのinsight、barrier/deriverを作成したほうがいいとは思いますが、実際にしっかりとDocument化してBrand planのPresentationに入れるのは重要なもの1~3つくらいが量の都合で限界かな、とも思います。
今日のテーマは current perception、desired perceptionなんですが、この言葉自体は一般的ではなく、私が勝手に使っている言葉です。「positioningって何?」という記事でも触れているのですが、
Current perception
(ビジネスに関わる、ヒントとなる)key stakeholderの本音≒insight
Desired perception
key stakeholderがこう思ってくれたら、我々が目指す行動をしてくれる≒positioning
「製品X処方におけるDesired perception」はそのままほぼpositioningになることが多いです。と、概念で話していてもあまりイメージがわかないので、(1) seek treatment:症状を感じたら花粉症で通院する、のmomentについてcurrent/desired perceptionをやってみましょう。key stake holderはこの3パターンです
- 花粉症で毎年通院している患者
- 症状があるのに通院しない患者(薬局で薬を購入している)
- 症状があるのに通院しない患者(薬局で薬を購入していない)
前回の記事「pts journeyにinsightを!」のinsightがそのままcurrent perception と考えてよくて
このmomentでの我々にとって(そしてpts outcomeの観点からも)患者さんとって欲しい行動は「花粉症の症状緩和のために受診する」ですが、すでに「花粉症で毎年通院している患者」のinsightは「通院していない患者」のDesired perceptionの大きなヒントになります。
「症状があるのに通院しない患者(薬局で薬を購入している)」患者のcurrent/desired percceptionを考えてみます。製品Xはまだ上市前でpre-launch活動を大々的にする場合は違いますが、多くの場合は製薬会社が「受診しない患者」に積極的にアクションを起こすのは「製品X発売後」なので、「製品Xが上市された想定」でdesired perceptionを考えてみましょう。(Pre-launchの患者活動をする場合は、逆に製品Xが無い=上市前のdesired percetpionを考えたほうがいいです)
「毎年受診している人」のinsightをヒントにしながらdesired perceptionをこんな感じにしてみました。
「花粉症の症状がでたら薬局でOTCを購入して服用していたけど、どうも1回飲んだら1か月効果が持続する薬があるらしい。OTCを買うのに比べたらそんなに費用も変わらないみたいだし、症状が出てから飲む手間がなければ「あれ?花粉症の症状がでない!自分が花粉症だということを忘れられる」と思うし、それなら病院を受診してその薬を試してみたい」
本当なら製品Xに関する文言を少なくして「seek treatment」に集中した文章にしたいところですが、OTCがこれだけ普及して有効性で処方薬との境目が微妙になってきている現状があり、製品Xに関する情報がないと、この患者群に受診してもらうのは困難なのでこのように製品X関連の文言が入っています。この患者群は症状が出たら薬を飲む、あんまり服薬をしたくない、面倒と思っているのがinsightなので、それを逆手にとって「1回飲んだら花粉症freeになれる!それなら受診しようか」みたいなツボを押したらどうか?という考えです。実際は次の記事に書きますinsightワークショップでdesired perceptionをBrand Teamで考えて作成するのがお勧めですが、本当にそう思ってくれたら受診するのか?は今後の定性・定量調査で確認して、より刺さる、顧客に響くdesired perceptionに上市までにbrush upしていきます。
ターゲットとした顧客、今回は「症状があるのに通院しない患者(薬局で薬を購入している)」患者のcurrent perceptionとdesired percetpionが定まったら、そのギャップを埋めるのがaction、key mesasgesです。この場合のKey message=伝えないとdesired perceptionの到達するための要素は
- 1回飲んだら1か月効果持続する薬があるらしい
- 症状、服薬、両方の煩わしさから解放されて花粉症であることを忘れられる=花粉症free
- 医療費はOTCと大差ない
は伝えないといけないことだと思います。ブランド名を出してのDTCができないことを考えるとどれもかなり厳しいですし、上市前には何もできなさそう…。SNSで製品Xを使用した患者が拡散してくれたら有効だと思いますが、それを製薬会社が仕掛けることはできませんので、current/desired perceptionを考えてみましたが、有効な「アクション」を実行することはコンプライアンスの観点から難しそうですね…。
気持ちを切り替えて、Brand Choiceで「抗ヒスタミン薬の中で製品Xを選択」のmomentでkey stake holder=医師で考えてみましょう。特にperceptionを変えたい医師は「製品Xをあまり処方したいと思わない医師」です。
Current perceptionは製品Xの処方意向が低い医師のinsightをそのまま、desried percetpionは処方意向が高い医師のinsightを参考に作成しました。
こうやってcurrent/desiredを並べてみると、desired perceptionの到達するための要素は
- 製品Xの製品特性(1回飲んだら1か月効果持続+安全性、服薬負担軽減、価格…)
- 副作用も1か月持続する懸念=安全性懸念の払拭
- 既存の抗ヒスタミン薬で満足している患者も製品Xを処方してもらいたいと思っている(服薬が少ない=花粉症free、花粉症だということ忘れられる!)
みたいな感じでしょうか。1はLaunch時には必須の製品特性の浸透なので、MR、Digitalでどんどんすべきですが、安全性懸念の払拭はデータでどこまで訴求できるな?医師の使用経験が重要だからdr to drを考えないといけないのでは?3の患者が製品Xを求めている、というのも患者の声をどう届けるか?ひょっとしたら患者のQoLデータがP3試験にあってそれを使って…薬を飲まない=花粉症free=花粉症であることを忘れられることの快適さ、気持ちよさと心理的なBenefitを前面にだすようなVisual、TVCMみたいなショートムービー作れないか?等々…ここまでくると、currentをdesiredに変える色々なアイディアが浮かんでくると思います。次はそれらを整理整頓して戦略という形にまとめあげ、アクションを決めていく、という作業に移ることができます。
前の記事で書きましたpts journeyのmomentごと、key stakeholderごとにinsight (=current perception)やdriver/barrierを考えるのと、今回の記事のcurrent/desired perceptionから、どのようなkey message、アクションを?までを1日の私はWorkshopで実施することが多いです。WorkshopでBrand teamメンバーが集まって、1日でInsight、current/desired perctpion、ギャップを埋めるアクションまで考えてもらうと、Brand teamメンバーの市場顧客理解が深まるだけではなく、「これから誰に何をして、顧客の現在の考え方をこう変えていかなければならない」というところまで皆の理解が進み、Brand planの作成や、アクションプラン策定に大きなプラスになります。
というわけで、次回はこのWorkshopをどのようにするか?を書きたいと思います。
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