2023年4月11日火曜日

(10) Pts journeyにinsightを!

insight時代のBrand Plan

  1. Pts journeyの定量化
  2. Pts journeyの定性化
  3. Pts journey定性調査、医師インタビュー 
  4. Pts journey定性調査、患者インタビュー 
  5. Pts journey定量調査、その前に 
  6. Pts journey、医師定量調査 
  7. Pts journey、患者定量調査 
  8. 調査結果をもとにPts journey定量化
  9. 定量化pts journeyとForecastモデル
  10. Pts journeyにinsightを!
  11. Current/desired peceptionを考えよう
  12. Insightワークショップをやってみよう!
  13. Segmentation、言うは易く行なうは難し
  14. Brand strategy:戦略って?KSF/CSFって?
  15. Sales Force Sizing:MRを何人に?(Digital時代を意識しながら)
  16. Data generation :  Brand Teamでどう取り組むか?
  17. Data generation workshopをやってみよう
  18. Brand Planまとめ:Senior managementへのプレゼンをしよう!

ここまでで(Forecastモデルと整合性が取れた)定量化されたPts journeyが出来上がりました。

pts journeyから、どのmomentの機会が大きいか?を判断して戦略を決めていくのですが、このpts journeyは「定量的な」pts joueneyで「定性的な」要素がまだ組み込まれていません。

定量的にみたら「通院してない患者を通院させる」のmomentで漏れている患者数が一番多いので、最も機会が大きいというのは確かですが、「機会をビジネスに変える、自社製品の売上に繋げる」のには、そのmomentの(量的大きさ)×(質的実現可能性)なので、定性的にも判断する必要があります。

「通院してない患者を通院させる」はもちろん、漏れている患者=量的な機会はとても大きいのですが、Brand名を提示したDTCができない日本ではなかなか難しいものです。pts journeyで上流に行けば行くほど、自分たちがアクションをしてもインパクトを出すのが困難になります。ですので、定量、定性の両面からmomentをしっかりと理解、分析し「どのmomentが注力すべきmomentなのか?」の優先順位をつけていかなければなりません。

多くのBrandで「Brand choiceで自社製品を選んでもらう」は最優先になることがとても多いです。「Brand choiceしか取り組むmomentがない」なんてブランドがあって、その場合はBrand choiceをもう少し分解したほうがいい場合もあるのですが、その話はまたの機会に。

製品Xで我々が注力したほうがいい可能性があるmomentは、

  1. Seek treatment :症状を感じたら花粉症で通院する
  2. Brand Choice:医師が抗ヒスタミン薬の中で製品Xを処方する
  3. Taking frequency:服薬回数/花粉症シーズン(1回 or 2回)
  4. Pts acceptance:製品Xの患者受入

製品Xの場合、Treatment choice=抗ヒスタミン薬を花粉症の治療に選択する、はもう標準的に治療なので抜いていますが、Treatment choiceが入ってくるBrandは多いです。

insight時代のmarketingでは、顧客の本音が大事、としつこく書いていますが、本音は質的情報なので、各momentを質的に考えることはとても重要ですが、どんな定性的な情報を考えたらいいかというと

  • Key stakeholder は誰か?
  • Key stake holder のそのmomentの本音は?
  • Key stakeholder のdriver/barrierは?

あたりからまずは書いてみましょう。まずは「(1)Seek treatment :症状を感じたら花粉症で通院する」から考えてみましょう。Key stakeholderは、まずは患者さん本人です。患者の家族に促されて通院、友達に促されて通院、ってのもあるので、患者の周囲のひとたちもstake holderではありますが、まずは患者本人について深掘りしていきましょう。このときに「花粉症で毎年通院している患者」「症状があるのに通院しない患者(薬局で薬を購入している人)」「症状があるのに通院しない患者(薬局で薬を購入しない人)」の3パターン(=患者定量調査のリクルーティング条件)の人たちになりきって、本音を深掘りします。この時に、定性/定量調査の結果、特に1-7同意の質問の量グループの患者の差は大きなヒント&違いのエビデンスになります。



吹き出しの中が「花粉症の症状で毎年通院する/しない」に関する各患者の気持ち本音、行動です。Brand TeamのWorkshopなどでは皆でまずはPost-itで出してまとめる、みたいなにするのがいいと思います。注意点はここでは「花粉症の症状で毎年通院する/しない」というmomentに集中して書くことで、ついつい拡散して製品Xについてとか書きたくなるのですが、ここはこのmomentの患者の気持ちや本音を深く考えて、insightにたどり着くのが目的なのですから。

「花粉症で毎年通院している患者」からはDriverが、毎年通院していない患者からはBarrierも出てきて、ここでは定量調査の結果(1-7同意度の同意top3の合計)の数字を入れています。これは各Segmentのペルソナを作るときに、調査結果からペルソナの重要要素の定量的な情報を入れておくと、ぐっと説得力が増すので試してみてください。その為にも1-7同意質問を嫌がらず、定量調査に入れておきましょう。

こうやって定性的な情報を付加して考えてみると、OTCで満足している患者さんや、薬も飲んでいない患者さんに通院してもらうハードルはかなり高そうです。Launch後しばらくはBrand Choiceに注力したほうがよさそうです、というような優先順位の判断ができるのではないでしょうか?

Brand choiceについてもやってみましょう。まずは医師から。定量調査の結果を製品Xの処方意向が高い医師(50%以上)と低い医師(50%未満)でクロス集計をして、その結果も大いに使いながら、患者さんと同じように考えていきます。新製品の場合は、私はまずは処方意向の高い低い(あるいはhigh、middle、low)で切ってみることが多いですが、それ以外のも「こんな切り方がいいかも?」みたいなアイディアがあったらぜひ試して、患者調査結果をクロス集計して結果をみてください。



(手抜きでPts journey調査の提示資料とほぼ同じ内容ですが、調査前に立てていた仮説が合っていた、という設定ということでご理解ください)

こうしてみると製品Xの「1回内服で1か月効果持続」はインパクトが強くて処方意向につながるのですが、製品Xをあまり処方しない医師は「効果が長く続くのは良いと思うが、副作用が出た時が心配」というのと「そもそも今の抗ヒスタミン薬で困っていない」というのがBarrierになっていると思われます。

お気づきの方もいると思いますが、この医師の処方意向の高/低で切り分けた→Segmentに繋がっていくことが多いです。Launch時には処方意向の高い医師と、低い医師がどういう考え、気持ちに違いがあるか?を洗い出していてAdoption ladderを作り、それでSegmentを分けるのががBrand Teamの」メンバーにも分かりやすくて、MRも理解しやすいのでお勧めしています。今回の処方意向別も

  1. 製品Xを知る = awareness 
  2. 製品Xを一部の患者に処方(50%未満)Trial/usage
  3. 製品X抗ヒスタミン薬の第一選択薬(50%以上)Loyal customer

ってな意味では、この処方意向での分け方もAdoption ladderに近い考え方ですね。Segmentについては別の記事にてしっかりと触れたいと思います。

製品Xへの処方意向が低い医師は製品Xはいいと思うけど、副作用が心配、今の治療薬で特に困ってないのがBarrierというのが分かってくると、とるべきアクションが明確になってきます。Launch初期の段階では「製品Xの1回服薬で1か月効果持続」「安全性は既存薬と同程度」というのをしっかりと浸透させ(ここはSoV至上主義時代とまったく同じ)で、その後(ここからはInsight時代)医師や顧客の潜在ニーズやバリア、製品Xの場合は

  • 医師が特に既存の抗ヒスタミン薬で満足している
という点については、患者の気持ち、ニーズがこんなにあることを気づかせる仕掛けを作ったり、、、みたいなアイディアがわいてくると思いますが、そこはaction planningのところで触れます。

また「医師が製品Xを進めても患者が拒否」することもあるので、製品Xに対する患者もやってみましょう。


と言いつつ、これもpts journey調査の提示資料そのままで手抜きですが。ここでも「医師が自信をもって勧めたら患者は製品Xを受け入れる」というのが分かってきていて、ここも医師にどうやって製品Xを自身をもって患者に勧めてくれるようになるか?を考えなければなりません。

Pts journeyの全てのmomentにこの作業をする必要まではないと思いますが、特に重要なmoment、今回はBrand Choiceを中心に考えてワークショップなどをBrand Teamで実施するのがいいんじゃないでしょうか。次回触れるSegmentはBrand Choiceが製品Xでは圧倒的に(Launch時は)重要なので、ここのmomentで医師Segmentは作ってしまっていいと思います。

Pts journeyの定性化=Insightを吹き込む話でしたが、医師や患者になりきって、調査結果を見ながら色々と考えていたらつい脱線してしましましたが、Pts journeyを定性化すると各momentの優先順位付け、SegmentやKey message、アクションにつながる情報もしっかりと整理できますので、ここをしっかりとしないケース(SoV至上主義の亡霊?)が割とあるのですが、そこはInsight marketing時代に適応してやってみることをお勧めします。

ほぼ毎日更新してきたブログですが、ついに書き溜めていたストックが無くなってしまいました…次からは少し更新頻度が落ちると思いますが、週に1-2本は最低頑張ってUploadして、ゴールデンウイークくらいには製品XのBrand Planを完成させたいと思います!


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