2023年4月18日火曜日

(16) Data generation : Brand Teamでどう取り組むか?

insight時代のBrand Plan

  1. Pts journeyの定量化
  2. Pts journeyの定性化
  3. Pts journey定性調査、医師インタビュー 
  4. Pts journey定性調査、患者インタビュー 
  5. Pts journey定量調査、その前に 
  6. Pts journey、医師定量調査 
  7. Pts journey、患者定量調査 
  8. 調査結果をもとにPts journey定量化
  9. 定量化pts journeyとForecastモデル
  10. Pts journeyにinsightを!
  11. Current/desired peceptionを考えよう
  12. Insightワークショップをやってみよう!
  13. Segmentation、言うは易く行なうは難し
  14. Brand strategy:戦略って?KSF/CSFって?
  15. Sales Force Sizing:MRを何人に?(Digital時代を意識しながら)
  16. Data generation :  Brand Teamでどう取り組むか?
  17. Data generation workshopをやってみよう
  18. Brand Planまとめ:Senior managementへのプレゼンをしよう!

製薬会社によってmedicalチームのmarketing、salesへの関わり合いかたは異なっていて、firewallがありコミュニケーションが無い場合もあれば、medicalチームもBrand Teamの一因としてmarketing, salesチームと密に協働する場合もあります。

MedicalチームはKOLマネージメントや今後どんなエビデンス、データが出るか、出していくかというData generation についてはBrand Teamで情報をシェアして一緒にプラン策定していくのが良いとは思いますが、現実に上手くいっているケースはあまり多くないのではないでしょうか?

どのようなData generationをしていくか?のプランのリードはメディカルチームなのですが、KOLにadvisory boardなどで「どんなdata generationが必要か?」の意見を伺い、メディカルチーム内でData generation planを策定し、marketingやsales に伝達する、というようなパターンもありますが、KOLの興味関心、current/desired perceptionが多くの処方医と同じならKOL の意見を伺って…という方法で問題ないのですが、製品Xのように治験医=KOLの多くはアレルギーの専門医で、処方医のほとんどは非専門で興味、関心、current desired perceptionは違う場合はData generationのニーズが異なるので問題が起こります。

変な例えですが、私は気象マニアなので毎朝GPVの気象データでこういう情報を見て、ああでもないこうでもないと考えるのが大好きです。

しかし99%以上の人たちが知りたいのはこんな詳細で複雑なデータじゃなくて「今日の天気は?」なのです。(こういうの↓)

KOLの意見はもちろん大事であり参考にすべきですが、KOLの意見が多くの治療医と同じとは限りません。特にMedical teamのメンバーはKOLとコミュニケーションをすることが多いので、錯覚してしまうこともあります。

製品Xの成功を考えると処方の95%以上を占める「KOL以外=非専門医」のことも考えなければなりません。非専門医のことを忘れてKOLが好むマニアックなdata generation計画が溢れて、製品上市後に「なんでこんなデータばかり出てくるんだ…もっと(非専門医の)実際の処方医に響く、刺さるデータが必要なのに…」となることも経験しています。data generationは計画してからデータが出てくるまでに何年も掛かるので、そうなってはもう後の祭で、その後にData generationを開始しても実際にデータが出てくるのは数年後です。

ではどうしたら、Brandのライフサイクルにあった、顧客に響く、刺さるメッセージを伝えられる、データ、エビデンス(臨床試験結果など)をタイムリーに出して行くことができるのでしょうか?そのためにはlaunch planの段階から5年以上先を見越してのdata generation planを考える必要があります。もっと言うと、臨床試験の計画段階からMarketing teamがインプットをしっかりして、長期的な競合の上市を見据えてData generation planが策定されているのが理想です。と、言うのは簡単なんですが、実現はなかなか難しい…私もdata generation planを上手く上市前に策定し、上市後に予定通りタイムリーにデータが出たのは数えるほどです。が、その「数えるほど」のBrandはいずれも成功をおさめています。

なかなか上手くいかない1つ目の理由は「medicalはsales, marketingとは独立していなければならない」という考えです。その考え自体は間違っておらず「売らんが為のmedical team」にはなってはいけないと私も思います。一方でMarketing, sales含むBrand Teamの目的も同じく「売らんがため」であってはならないと思います。「Pts focusと製薬Marketingの意義」という記事にも書きましたが、製薬会社の使命は「提供、提案する治療でより高いpts outcomeを実現する」なので、medicalもmarketingもsales も目指すことは同じなのでその目的が共有された上でOne Brand Teamでdata generation workshopをするのがいいのではないか、といつも思っています。

今回の製品XのBrand strategyサマリースライドをご覧ください。

これはBrand Teamで作成したもので、私の想定としてはmedical teamも入って作成したものですので、これはLaunch Brand planでありmedicalもmarketingもsalesもこのプランに沿って=MedicalのMarketingもSalesもみな共通で様々な活動を企画実施していくものなんですが、往々にしてmedical teamは「いや、これはcommercialのものだから」という態度でこのスライドの内容を無視して全く独立したmedical planを立案することがあるのです。

medical teamが「主体的に」Brand Teamの一員となりBrand Planを策定して行くには、社長、medical head, marketing headなどsenior management が「medical もBrand team の一員であり、ハイレベルなbrand strategy は同じである」というコミットメントが必要です。ここで言う「ハイレベルなbrand strategy」は上記画像にある、positioning, segment, CSF, key messagesあたりです。詳細なmedical planではセグメントにKOLが追加されてもいいと思いますし、(brand plan全体のセグメントにKOL を入れてもいいですが)そこはMedical planの詳細は詰めてもらうとしても、共通部分は揺らいではいけません。

Medical teamのメンバーは積極的にbrand plan策定に関わり、このブログで書いているように「Brand planはなぜ必要で、どう作られているか?」を理解した上で「主体的に」Brand planの策定に参加することも重要です。ともすると、Medicalのメンバーは「ご意見番」「評論家」になりがちなケースもありますが「売らんがため」ではなく「患者の治療アウトカムを最大化するため」というBrand team共通の目的に向かって、主体的にBrand planの策定に関わっていかないとBrandの成功=患者の治療アウトカムの最大化は実現できない時代です。

以前よりも競合との差別化は難しく、のデータの差が大きくBrandの製品の売上に差がつくことが多くありますし、MedicalとData generationの重要さは以前よりもさらに増しています。6成分目のSGLT2阻害薬のエンパグリフロジンが糖尿病患者の心血管イベント(心筋梗塞や脳梗塞)を低下させるというエビデンスで一気に処方が増えたのもData generationのパワーだと思います。

https://answers.ten-navi.com/pharmanews/16877/

やや概念的なことばかり書いて長くなってしまったので、次回の記事でdata generationワークショップで実際にどのようにData geneartaionをBrand teamとして考えていくか?について書きたいと思います。

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