2023年4月9日日曜日

(9) 定量化pts journeyとForecastモデル

insight時代のBrand Plan

  1. Pts journeyの定量化
  2. Pts journeyの定性化
  3. Pts journey定性調査、医師インタビュー 
  4. Pts journey定性調査、患者インタビュー 
  5. Pts journey定量調査、その前に 
  6. Pts journey、医師定量調査 
  7. Pts journey、患者定量調査 
  8. 調査結果をもとにPts journey定量化
  9. 定量化pts journeyとForecastモデル
  10. Pts journeyにinsightを!
  11. Current/desired peceptionを考えよう
  12. Insightワークショップをやってみよう!
  13. Segmentation、言うは易く行なうは難し
  14. Brand strategy:戦略って?KSF/CSFって?
  15. Sales Force Sizing:MRを何人に?(Digital時代を意識しながら)
  16. Data generation :  Brand Teamでどう取り組むか?
  17. Data generation workshopをやってみよう
  18. Brand Planまとめ:Senior managementへのプレゼンをしよう!
前回、pts journeyをこのように定量化しました。



「定量化したpts journeyとForecastモデルってどんな関係があるんですか?」って聞かれたら「愚問です、定量化したpts journeyは(ほぼ)Forecastモデルそのものです」って答えています。同じものなので、Brand Planの中の患者数、処方率などの数字はForecast modelと同じなのが自然なのですが、pts journeyの数字と、Forecast modelの数字が一致していないケースは結構目にしますし、数字が守備一貫していないプランはReviewで突っ込まれます。

Pts journeyを作成しているBrand managerがForecastモデルを作成、いじっていたら数字が一致していないことはあまりないのですが、そうでない場合(forecaster、insight managerがforecastしてるなど)がありまして、そんな場合で数字が一致していないと「あー協働が上手くいっていないんだな~危険だな」というサインだと思うようにしています。

私の場合はPts journeyの定量化とForecastモデルの作成は並行して作成、Updateすることが多いです。どうするかというと、まずはシンプルに先に示したスライドをEXCELにします。


これだとほぼそのままPowerPointのスライドがEXCELになっただけなので、Forecastモデルにする=シミュレーションできるように、Inputセルがどこか?が分かるようにしましょう。


私はInputするセルはこんな感じで黄色にするようにしています。あとはData sourceを必ずモデルのEXCELに入れておきます。そうしないと「後でこのAssumptionの根拠はなんだったけ?」という時や、担当者が変わったときに困りますので。この画像のEXCELだと、まだ横に年、月で広げていっておらずForecastモデルにはなっていないので、横に年単位でまずは広げてみましょう。

だいぶForecastモデルっぽくなってきました。ざっくりなモデルなので、「毎年通院している患者」「毎年じゃないが通院経験のある患者」「通院経験のない患者」というカテゴリーは使わず、重症度別の通院患者率を少しずつ上げていくシミュレーションができるようにしています。患者調査を毎年Trackして「重症度別の通院率」を割り出すには、患者に症状を答えてもらって、その症状に応じて我々側で重症度を判断→通院率など計算することもできますので。

もし将来的に「毎年通院している患者の製品Xシェアが60%」とかになって、花粉症で毎年は通院しない患者や、通院したことがない患者を攻略することが優先度の高い戦略になった場合は、モデルもそのように変更します。逆に、今、そうしていないのは「Launchしてからしばらくは毎年花粉症で通院している患者+毎年じゃないけど通院している患者=pts journeyでいうとこの抗ヒスタミン薬を処方されている患者群が優先事項が高いターゲット顧客だからです。このように戦略に合わせて、Forecastモデルは変更しているケースは少ないっちゃ少ないのですがぜひやってみてください。ブランド戦略、KPIが変わるならForecastモデルも変えたほうがいいかも?くらいの意識はもっておいたほうがいいと思います。pts journeyとForecastモデルが連動しているとシミュレーションが簡単にできます。またKPIとの連動もしたほうが良くて、毎月の新規患者獲得数がKPIなら、その人数をinput項目(黄色網掛け)にしたほうがいいですし、シェアがKPIならそちらをinput項目(黄色網掛け)にしたほうがいいのです。

製品XのForecastモデルの話に戻ります。通院率を含め、Pts journeyで特定した、我々が影響を与えることができる、影響を受けるmomentとその機会は、と年々変わっていく薬価を含め
  • 通院率
  • 通院回数/花粉症シーズン
  • 製品Xの医師の処方意向
  • 製品Xの患者受入
  • 薬価
をAssumptionとしての年単位のモデルはこれで完成しす。Launch1年半前くらいだと、生産計画を出さないといけない時期になっているので、実際には月別で同様のモデルを作成します。この1年単位のモデルを月に分解する手もあるのですが、実際の売上やKPIの更新も毎月するので、それならForecastモデルも最初から月単位にしておくことがお勧めです。年単位に集計するのは簡単なので。

Forecastモデルの要件についてはここでも書いていますが、ともするとBrand Teamの人は誰も扱えない、シミュレーションが困難な、Forecast職人の自己満足ともいえる「精緻だけど使い辛いモデル」になることがあります。100%の予測精度を誇るForecastモデルは無理な話なので、現実の毎月の売上でForeastモデルをvalidationかけて、上下5%くらいのずれは許容しつつシミュレーションがしやすい、扱いやすい、simpleなForecastモデルを使うことをお勧めします。

Linkedinのコメント欄で「定量調査の結果で得られた処方意向をどうForecastモデルで使うか?」という質問をいただきました。市場調査の質問票の設計がしっかりとなされている、なるべくバイアスを避けられていることを前提としてですが、

市場調査の処方意向
=当該製品の製品特性、key messagesが届いた時の医師の処方意向
≒ピークシェア

と解釈して私は数字を使っています。今回の場合は、製品Xの医師の処方意向は40%なので、製品Xのピークシェアを40%としてForecastモデルに組み込みますので、上記の年毎のもモデルもそうしています。なぜそうなるかというと、調査設計上、抗ヒスタミン薬を処方する可能性がある医師全員に=市場Coverage100%の状況で、調査上で提示した製品特性、Key messages、Pros/Consを医師が理解した上での処方意向は、実際のLaunch後でも同様に「抗ヒスタミン薬処方医が製品Xの製品特性、Key messages、Pros/Consを医師が理解した上での処方意向」と解釈していいと思います。ただし、実際の市場のCoverage、口座開設などに応じて、例えばCoeverageが80%なら、そのぶんディスカウントしましょう。

過去に自分が携わった新製品、適応拡大のLaunch前の定量調査による処方意向と実際のPeak shareを調べたことがあるのですが、±20%に入っている、調査での処方意向が50%の場合、実際のpeak shareは多くのケースで40-60%の範囲に収まっていましたので、このような解釈で実務上は問題ないのかな、と思っています。

Forecastでもうひとつ、どうしよう…って思うのがPeak shareに至るまでのuptake curveです。製品特性(画期的度合い)、市場の競合状況、その市場にて発売された順番、などいろいろな要素が絡み合いますが、似たような状況の製品のUptakeをベンチマークにする、よく行われますし私も賛成です。が、実際にはなかなか似たような製品、市場が見つからない場合も多いので、その場合は1年目は2週間の処方制限もあるので抑えめ、その後はピークまで3年くらいで…みたいな感じを基本にTeam合意で作ってしまうことも多いです。ここに膨大なエネルギーを割いても、、、とも思いますし。

あと定量調査で医師や薬剤部に「いつ頃に採用になるか?使用し始めるか?」と聞いたこともあるのですが、あまり当たった経験は私はありません。ですので、悩ましいのですが、ベンチマークとTeam合意でLaunchして、発売のUptakeを見て、適宜修正していくのが現実的なのかな、と思っています。

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