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2023年4月15日土曜日

(14) Brand strategy:戦略って?KSF/CSFって?

 insight時代のBrand Plan

  1. Pts journeyの定量化
  2. Pts journeyの定性化
  3. Pts journey定性調査、医師インタビュー 
  4. Pts journey定性調査、患者インタビュー 
  5. Pts journey定量調査、その前に 
  6. Pts journey、医師定量調査 
  7. Pts journey、患者定量調査 
  8. 調査結果をもとにPts journey定量化
  9. 定量化pts journeyとForecastモデル
  10. Pts journeyにinsightを!
  11. Current/desired peceptionを考えよう
  12. Insightワークショップをやってみよう!
  13. Segmentation、言うは易く行なうは難し
  14. Brand strategy:戦略って?KSF/CSFって?
  15. Sales Force Sizing:MRを何人に?(Digital時代を意識しながら)
  16. Data generation :  Brand Teamでどう取り組むか?
  17. Data generation workshopをやってみよう
  18. Brand Planまとめ:Senior managementへのプレゼンをしよう!

「positioningってなに?」という記事でpoitioningという言葉は汎用されている割に、その定義、イメージが人によってまちまちな言葉だと書き、Positioningを「顧客がそう脳内で認知してくれたら自社製品が選ばれる」状態=Desired perceptionだよ、と説明しました。す。

ここで「≒」という記号をつかっているのは、これまでPts journeyのmoment毎に

current/desired perceptionを考えました。ですので、desired perceptionは顧客ごと、moment毎にたくさんできたのですが「顧客group(segment)」「重要なmoment」ごとのDesired perception=製品Xのpositioning」を考えてきたと言えます。


実際のアクション策定は重要なsegmentのCurrent preceptionをどうdesired preceptionに変えていくか?をしっかり考えていけばOKなので各segment、moment毎にdesired percetpion≒positioningがあります。ですが、日本のSenior managementやGlobalがreviewするようなBrand planの中では、segment毎、moment毎ではなく「ひとつのpositiojning statement」を求められるので、これまで作成したdesired perpcetionを上手にまとめあげてひとつにしていかないといけません。正直、私は「顧客ごと、moment毎にpositioning≒desired perceptionがあったらそれでいいじゃん」と思っているのですが、多くのBrand plan templateでは「1枚にそのBrandのposotioningや重要な戦略、メッセージなどをまとめたtemplateを求められるので作らないと…っていう感じです(サマリースライドなのであるべきだとは思っていますよ)

この1枚のスライドを作成するには、これまで作成したcurrent/desiredなど多くの分析、資料をまとめていきます。製品Xの場合は一番注力すべきSegmentは「製品Xの処方が50%未満の医師」でBrand choiceが大事なので、そこを中心にこんな感じにまとめてみました。

「2錠の2回の服用で2か月、花粉症freeを実現する抗ヒスタミン薬の第一選択薬」
1回服薬したら効果が1か月持続するのは患者さんが飲み忘れないメリットだけじゃなくて、患者さんが「花粉症free、花粉症であることを忘れられる」メリットが大きい。薬価は既存薬の1.5倍くらいで高いが、副作用も既存薬と同等であまり心配ないで、私は花粉症の患者さんにはシーズン前に2錠を処方します。

黒太字部分は「それっぽい感じでGlobalに忖度した短文」でまとめ、その後にPosotioning statement (≒各momentのdesried perceptionのまとめ)を入れてみました。こう書けばinsight要素も漏れずに盛り込めます。

 ようやく今日のテーマ「戦略」の話です。戦略=「desired perception≒positioningを実現するための筋道、ステップ」なんですが、言葉よりもこの画像のようなイメージで記憶してもらえれば、と思います。



「positioningって何?」という記事にも書きましたが、製品XのこのPositioningを実現=ターゲット医師がdesired perceptionになっている状態に至るには1つの活動、メッセージではなかなか難しく、そこに至る筋道、Stepをデザインしたほうがいい場合が多くあります。なので私はStrateg=戦略を「Desired perception(≒positioning)を実現するための筋道、ステップ」と文章で定義していますが、これも上記の画像のイメージのほうが記憶しやすいと思います。

製品XではSegment毎のcurrent/desiredをこんな風にまとめました。


製品Xの場合はどんな戦略になるか?というのを考えてみると
  1. 製品Xの製品特性を知る「1回服薬、効果1か月持続」副作用の懸念を払拭
  2. 既存薬より切り替えるBenefitが大きい「花粉症free」の患者ニーズの重要性を知る(既存薬で満足の壁の打破)
  3. 製品Xが第一選択薬になり、1シーズンに2錠=2か月分処方をする
みたいな感じでいかがでしょうか?

□ 製品特性(有効性/安全性)の理解
□ 患者Benefitが製品X>>既存薬→製品Xを処方
□ 製品X=第一選択薬
□ 製品Xをシーズンに2錠=2か月分処方

といういう感じでチェックボックスにしてもいいかな、とは思います。adoption ladderになっていなくても check listでもいいので。いずれにせよ、それぞれの項目が「製品Xの成功=positioningを達成するのに必須な戦略的要素」なので、これらの分解された戦略の要素は
  • Critical Success Factor (CSF)
  • Key Success Factor (KSF)
と呼ばれます。CSFでもKSFでも言葉はどっちでもいいので、さきほどのPositioning statementも入れた1枚のスライドを作成してみました。


ここまで来ていると、Positioning、Strategy(戦略)、CSF/KSF、Key messages、ハイレベルなアクションが1枚のスライドにまとめられています。これまでの分析やWorkshopで出てきたものを整理整頓しただけなんですけどね。Senior managementやGlobalのreviewerは常にマクロ→ミクロにreviewすることに慣れているので、このようなスライドはBrand planの全体を包括しているものなので、しっかりと作成しましょう。ここまで書いたPts journeyに沿った多くの分析、ワークをしっかりとしていたら、問題なくこのスライドはあと、これだけだとかなりハイレベルなので、もう少し詳細にSegment毎に何をするか?Key actionsは?というようなスライドも良く作られます。(すみません、まだアクションの中身は貧弱です…)


ここでお気づきと思いますが、抗ヒスタミン薬処方医は全国で65,000人もいるので、MRで全員をカバーしようとするととんでもないことになります。一方で、Peakの薬価売り上げは170億円くらいなので、1000億円稼ぐような超大型製品だったら、MRを1000人単位で…というのも考えられますが、そこまでではないので次に考えないといけないのは、どのくらいのMRで、リソースをかけてPromotionをするか?について考えてみたいと思います。


2023年4月14日金曜日

(13) Segmentation、言うは易く行なうは難し

insight時代のBrand Plan

  1. Pts journeyの定量化
  2. Pts journeyの定性化
  3. Pts journey定性調査、医師インタビュー 
  4. Pts journey定性調査、患者インタビュー 
  5. Pts journey定量調査、その前に 
  6. Pts journey、医師定量調査 
  7. Pts journey、患者定量調査 
  8. 調査結果をもとにPts journey定量化
  9. 定量化pts journeyとForecastモデル
  10. Pts journeyにinsightを!
  11. Current/desired peceptionを考えよう
  12. Insightワークショップをやってみよう!
  13. Segmentation、言うは易く行なうは難し
  14. Brand strategy:戦略って?KSF/CSFって?
  15. Sales Force Sizing:MRを何人に?(Digital時代を意識しながら)
  16. Data generation :  Brand Teamでどう取り組むか?
  17. Data generation workshopをやってみよう
  18. Brand Planまとめ:Senior managementへのプレゼンをしよう!

製薬マーケティングでSegmentationをしていない会社はないのではないか?と思うほど業界の「常識」 になっているSegmentationですが、使いこなせてない例、言われているからなんとなく分けている例も散見されているような…Segmentで分ける意味は「考え、気持ち、結果行動が異なる顧客群にkey message、アクション、チャネルを変えてテイラーメイドのアプローチをして成果をあげる」ためなのですが、過去はセグメント分けと言えば「診療科」「医師Potenntial」というのが常識の時代もありまして、現在はその2つが混在しているというのも脳内混乱の原因、うまく活用できていない原因なのでは?と思っていますが、そこらへんも今回の記事で皆さんの脳内整理に役立てれば。

Segmentationの本題に入る前に、これまでやってきたことを少しまとめて脳内整理、資料整理をしてみます。Pts journeyの重要なmomentでのkey stakeholders の脳内のcurrent perceptionをdesired perceptionにどう変えていくか?を考えてきましたが、多くの分析、ワークをして拡散気味だったものをまずはまとめていきましょう。ここでも軸はpts journeyです。我々にとって機会があるmomentを4つは

  1. Seek treatment :症状を感じたら花粉症で通院する
  2. Brand Choice:医師が抗ヒスタミン薬の中で製品Xを処方する
  3. Taking frequency:服薬回数/花粉症シーズン(1回 or 2回)
  4. Pts acceptance:製品Xの患者受入
このmoment毎に
  • momentの簡単な説明
  • upside opportunityの大きさ(患者数、金額)
  • driver/barrier
  • Priority
を1枚にまとめてみます。

このまとめ方だとinsight的要素は弱めですが、ハイレベルなまとめ資料なので気にせず市島ましょう。こう見るとBrand choiceとRx frequency、が(やはり)優先度が高いな、ということが分かります。

我々にとって重要な顧客(key stakeholders)は当然ながら「抗ヒスタミン薬処方医師」と「花粉症で受診をする患者」なのですが、ここで彼らを一括りに「医師」「患者」とまとめてしてしまっていいのか?というのを考えなければいけません。考え、行動、違いによって医師をグループ分けしてテイラーメイドのメッセージやアクションをしたほうが効率が良い場合があり、そのために顧客をいくつかのグループに分けることをSegmentationです。Pts journeyのinsight作成の時にも製品Xの処方意向の高い医師と低い医師、の2つに分けて考えました。そう言う意味では既にsegmentation はもう始めていた、とも言えます。

なぜ、医師を「製品Xの処方意向高/低」の2つのグループに分けたのでしょうか?逆に2つに分けずに「抗ヒスタミン薬処方医」全員を1つのグループでinsight を作成したとします。そうすると全体の処方以 意向は40%まで、など調査の結果から抗ヒスタミン薬処方医師の全体像は分かりますが、我々が目指すのは
  • どうしたら製品Xがより処方されるか?
  • そのdriver/barrierは?
  • その医師の本音は?
なので、医師全体を1つにまとめた情報からよりも処方意向の高いグループ、低いグループに分けて調査結果をもとに2つのinsightを作成して対比させて、ギャップを考えるほうが顧客の深い本音の理解、ギャップ分析(current/desired perception)から「顧客の考えをこう変えないと」が明確になり戦略、アクションの立案も考えやすくなりますし、特にアプローチを集中させなければならない処方意向が低い医師グループへの活動が明確かつ効率的になります。

かつてSegmentationと言えば
  • 診療科別
  • Potential別(持ち患者別、残患者別)
でしたが、これはこれで間違いではないと思っています。診療科ですが、もし診療科毎に考え方、気持ち等々のinsight≒current perceptionが違うのなら、診療科別のsegmentationもOKだと思います。ただ、考え、気持ちが同じなのにただ、診療科で分けると分けやすいから、という理由だけで分けるのなら意味がないと思います。(分けることで満足、Brand PlanのTemplateが分けろ!と言っているから分けた、、、みたいな)Segmentで分ける意味は「考え、気持ち、結果行動が異なる顧客群にkey message、アクション、チャネルを変えてテイラーメイドのアプローチをして成果をあげる」ためなので、闇雲に診療科で分ける意味はありません。

Potential別(持ち患者別、残患者別)ですが、これもhigh potentialな顧客に「活動の量」を多く割くのは効率的なので「分ける」のは合理的です。ただし、Potential別「だけ」で分けてしまうと、医師のinsight、気持ち、行動の違いによるsegmentができなくなってします。おすすめはこんな感じに縦軸に気持ち、行動に基づいたSegment(今回の場合は製品Xの処方状況)で横軸にPotential別にします。


すると、こんなMetrixができまして、「伝えること」の質的な内容は「気持ち、行動に基づいたSegment」が同じなら変わりませんが、その医師のPotentialが高い(患者数が多い)場合にはより頻回に訪問し、少ない場合は訪問も少なくなる、ということなので


みたいに訪問頻度の優先付けに「Potential別」は使うのがよいと思います。この場合はpotentialが高くても既に製品Xが第一選択肢になっている医師にはそんなに訪問頻度は高くしなくていい…など、こうして縦軸でinsight時代のmarketingに重要な「気持ち、行動に基づいたsegmentation」を残しつつPotentialの要素も加えられます。

さきほどのスライドで、抗ヒスタミン薬処方医を3つのSegment
  1. 製品X未処方医
  2. 製品X処方率50%未満の医師
  3. 製品X処方率50%以上の医師
に分けてみました。この分け方はadoption lafdderにも近い感じだし、MRにとっても見分けやすい、分かりやすいのですが、こういう「処方行動で分けたSegment」は一部のMarketingマニア(特に頭デッカチのコンサル脳Global)からは「もっと気持ち、Insightで分けないといけない!」と指摘されることもあるのです。言っていることはMarketingの教科書的にはごもっとも!でも表面=Segmentの名前だけを見ないでくれ…たとえ処方行動でSegment分けをしていたとしても、その背後にある気持ち、insightがしっかり捉えられていて、Segment毎に違いがあれば、OKなのでは?と私は思います。例えば、気持ち、insight別(のSegment名)で医師をsegmentして
  1. 患者治療アウトカム最優先医師
  2. 抗ヒスタミン薬興味無し医師
  3. …
みたいに分けられなくもないのですが、正直、現場(MR)では判別が難しく使いづらいSegmentationになってしまいます。Segmentationとしては「美しい」「あるべき」ではありますが、使えなければ砂上の楼閣なので、このような" beautiful but not practical" なsegmentationは避けたほうがいいと思っています。裏技で実際は「処方行動で分けている」んだけど、名前を気持ち、insight別に変更して
  1. 抗ヒスタミン薬興味無し医師(製品X未処方医)
  2. 既存薬満足医師(製品X処方率50%未満の医師)
  3. 患者治療アウトカム最優先医師(製品X処方率50%以上の医師)
のように誤魔化してGlobalの目を逃れたことも実はあります。そこらへんは「実」をとったほうがいいと思いますので。Segment分けする理由は「考え、気持ち、結果行動が異なる顧客群にkey message、アクション、チャネルを変えてテイラーメイドのアプローチをして成果をあげる」と書きましたが「成果をあげる」ためには「私のターゲット医師がどのSegmentに属するか?」の判別がMRにも容易でないと成果をあげるのは難しいので、「Segmentの判別が容易である」というのもSegmentを分ける際の必要条件です。

Brand Teamで決めた「使える、使いやすい」Segmentのcurrent/desired、key driver/barrierをまとめてSegment毎に作成して1枚にまとめました


この辺のまとめ方は各社のBrand planのtemplateによって変わると思いますので、適宜templateに基づいて作成いただければと思います。あとはSegment毎に1枚でinsightまで込みでペルソナまで含めて作成するのもお勧めです。


これもこれまで作成した情報で作成できて、この資料があると、そのSegmentの医師のイメージが映像で見た人の脳内に浮かびますね。これを各医師、患者各Segmentで作成したら、Segmentationの説明は簡単にできます。

Segmentationをするときの大事なポイントをまとめると
  • 気持ち、行動(insight)ベースのSegmentがinsight時代には大事
  • もちろんpotentialも大事
  • 縦軸にinsight別、横軸にpotential別で両方をcaptureするといい
  • 全セグメントの情報をまとめたスライドはあったほうがいい
  • 各Segment毎をまとめたスライドを作ると説明簡単で便利
みたいな感じです。ここまで行くと次はついに戦略=desiredにたどり着くまでの道筋のデザイン、の話になっていきます。

2023年4月13日木曜日

(11) Current/desired peceptionを考えよう

insight時代のBrand Plan

  1. Pts journeyの定量化
  2. Pts journeyの定性化
  3. Pts journey定性調査、医師インタビュー 
  4. Pts journey定性調査、患者インタビュー 
  5. Pts journey定量調査、その前に 
  6. Pts journey、医師定量調査 
  7. Pts journey、患者定量調査 
  8. 調査結果をもとにPts journey定量化
  9. 定量化pts journeyとForecastモデル
  10. Pts journeyにinsightを!
  11. Current/desired peceptionを考えよう
  12. Insightワークショップをやってみよう!
  13. Segmentation、言うは易く行なうは難し
  14. Brand strategy:戦略って?KSF/CSFって?
  15. Sales Force Sizing:MRを何人に?(Digital時代を意識しながら)
  16. Data generation :  Brand Teamでどう取り組むか?
  17. Data generation workshopをやってみよう
  18. Brand Planまとめ:Senior managementへのプレゼンをしよう!
前回の記事でPts journeyの成功のための優先度が高いmomentにおけるKey stakeholder(医師・患者)をinsightを作成しました。製品Xの成功に関係するmomentは
  1. Seek treatment :症状を感じたら花粉症で通院する
  2. Brand Choice:医師が抗ヒスタミン薬の中で製品Xを処方する
  3. Taking frequency:服薬回数/花粉症シーズン(1回 or 2回)
  4. Pts acceptance:製品Xの患者受入
を挙げまして、全部のkey stakeholderのinsight、barrier/deriverを作成したほうがいいとは思いますが、実際にしっかりとDocument化してBrand planのPresentationに入れるのは重要なもの1~3つくらいが量の都合で限界かな、とも思います。

今日のテーマは current perception、desired perceptionなんですが、この言葉自体は一般的ではなく、私が勝手に使っている言葉です。「positioningって何?」という記事でも触れているのですが、

Current perception
(ビジネスに関わる、ヒントとなる)key stakeholderの本音≒insight
Desired perception
key stakeholderがこう思ってくれたら、我々が目指す行動をしてくれる≒positioning


「製品X処方におけるDesired perception」はそのままほぼpositioningになることが多いです。と、概念で話していてもあまりイメージがわかないので、(1) seek treatment:症状を感じたら花粉症で通院する、のmomentについてcurrent/desired perceptionをやってみましょう。key stake holderはこの3パターンです
  • 花粉症で毎年通院している患者
  • 症状があるのに通院しない患者(薬局で薬を購入している)
  • 症状があるのに通院しない患者(薬局で薬を購入していない)
前回の記事「pts journeyにinsightを!」のinsightがそのままcurrent perception と考えてよくて






このmomentでの我々にとって(そしてpts outcomeの観点からも)患者さんとって欲しい行動は「花粉症の症状緩和のために受診する」ですが、すでに「花粉症で毎年通院している患者」のinsightは「通院していない患者」のDesired perceptionの大きなヒントになります。

「症状があるのに通院しない患者(薬局で薬を購入している)」患者のcurrent/desired percceptionを考えてみます。製品Xはまだ上市前でpre-launch活動を大々的にする場合は違いますが、多くの場合は製薬会社が「受診しない患者」に積極的にアクションを起こすのは「製品X発売後」なので、「製品Xが上市された想定」でdesired perceptionを考えてみましょう。(Pre-launchの患者活動をする場合は、逆に製品Xが無い=上市前のdesired percetpionを考えたほうがいいです)

「毎年受診している人」のinsightをヒントにしながらdesired perceptionをこんな感じにしてみました。

「花粉症の症状がでたら薬局でOTCを購入して服用していたけど、どうも1回飲んだら1か月効果が持続する薬があるらしい。OTCを買うのに比べたらそんなに費用も変わらないみたいだし、症状が出てから飲む手間がなければ「あれ?花粉症の症状がでない!自分が花粉症だということを忘れられる」と思うし、それなら病院を受診してその薬を試してみたい」

本当なら製品Xに関する文言を少なくして「seek treatment」に集中した文章にしたいところですが、OTCがこれだけ普及して有効性で処方薬との境目が微妙になってきている現状があり、製品Xに関する情報がないと、この患者群に受診してもらうのは困難なのでこのように製品X関連の文言が入っています。この患者群は症状が出たら薬を飲む、あんまり服薬をしたくない、面倒と思っているのがinsightなので、それを逆手にとって「1回飲んだら花粉症freeになれる!それなら受診しようか」みたいなツボを押したらどうか?という考えです。実際は次の記事に書きますinsightワークショップでdesired perceptionをBrand Teamで考えて作成するのがお勧めですが、本当にそう思ってくれたら受診するのか?は今後の定性・定量調査で確認して、より刺さる、顧客に響くdesired perceptionに上市までにbrush upしていきます。

ターゲットとした顧客、今回は「症状があるのに通院しない患者(薬局で薬を購入している)」患者のcurrent perceptionとdesired percetpionが定まったら、そのギャップを埋めるのがaction、key mesasgesです。この場合のKey message=伝えないとdesired perceptionの到達するための要素は
  • 1回飲んだら1か月効果持続する薬があるらしい
  • 症状、服薬、両方の煩わしさから解放されて花粉症であることを忘れられる=花粉症free
  • 医療費はOTCと大差ない
は伝えないといけないことだと思います。ブランド名を出してのDTCができないことを考えるとどれもかなり厳しいですし、上市前には何もできなさそう…。SNSで製品Xを使用した患者が拡散してくれたら有効だと思いますが、それを製薬会社が仕掛けることはできませんので、current/desired perceptionを考えてみましたが、有効な「アクション」を実行することはコンプライアンスの観点から難しそうですね…。

気持ちを切り替えて、Brand Choiceで「抗ヒスタミン薬の中で製品Xを選択」のmomentでkey stake holder=医師で考えてみましょう。特にperceptionを変えたい医師は「製品Xをあまり処方したいと思わない医師」です。


Current perceptionは製品Xの処方意向が低い医師のinsightをそのまま、desried percetpionは処方意向が高い医師のinsightを参考に作成しました。


こうやってcurrent/desiredを並べてみると、desired perceptionの到達するための要素は
  1. 製品Xの製品特性(1回飲んだら1か月効果持続+安全性、服薬負担軽減、価格…)
  2. 副作用も1か月持続する懸念=安全性懸念の払拭
  3. 既存の抗ヒスタミン薬で満足している患者も製品Xを処方してもらいたいと思っている(服薬が少ない=花粉症free、花粉症だということ忘れられる!)
みたいな感じでしょうか。1はLaunch時には必須の製品特性の浸透なので、MR、Digitalでどんどんすべきですが、安全性懸念の払拭はデータでどこまで訴求できるな?医師の使用経験が重要だからdr to drを考えないといけないのでは?3の患者が製品Xを求めている、というのも患者の声をどう届けるか?ひょっとしたら患者のQoLデータがP3試験にあってそれを使って…薬を飲まない=花粉症free=花粉症であることを忘れられることの快適さ、気持ちよさと心理的なBenefitを前面にだすようなVisual、TVCMみたいなショートムービー作れないか?等々…ここまでくると、currentをdesiredに変える色々なアイディアが浮かんでくると思います。次はそれらを整理整頓して戦略という形にまとめあげ、アクションを決めていく、という作業に移ることができます。

前の記事で書きましたpts journeyのmomentごと、key stakeholderごとにinsight (=current perception)やdriver/barrierを考えるのと、今回の記事のcurrent/desired perceptionから、どのようなkey message、アクションを?までを1日の私はWorkshopで実施することが多いです。WorkshopでBrand teamメンバーが集まって、1日でInsight、current/desired perctpion、ギャップを埋めるアクションまで考えてもらうと、Brand teamメンバーの市場顧客理解が深まるだけではなく、「これから誰に何をして、顧客の現在の考え方をこう変えていかなければならない」というところまで皆の理解が進み、Brand planの作成や、アクションプラン策定に大きなプラスになります。

というわけで、次回はこのWorkshopをどのようにするか?を書きたいと思います。


2023年4月11日火曜日

(10) Pts journeyにinsightを!

insight時代のBrand Plan

  1. Pts journeyの定量化
  2. Pts journeyの定性化
  3. Pts journey定性調査、医師インタビュー 
  4. Pts journey定性調査、患者インタビュー 
  5. Pts journey定量調査、その前に 
  6. Pts journey、医師定量調査 
  7. Pts journey、患者定量調査 
  8. 調査結果をもとにPts journey定量化
  9. 定量化pts journeyとForecastモデル
  10. Pts journeyにinsightを!
  11. Current/desired peceptionを考えよう
  12. Insightワークショップをやってみよう!
  13. Segmentation、言うは易く行なうは難し
  14. Brand strategy:戦略って?KSF/CSFって?
  15. Sales Force Sizing:MRを何人に?(Digital時代を意識しながら)
  16. Data generation :  Brand Teamでどう取り組むか?
  17. Data generation workshopをやってみよう
  18. Brand Planまとめ:Senior managementへのプレゼンをしよう!

ここまでで(Forecastモデルと整合性が取れた)定量化されたPts journeyが出来上がりました。

pts journeyから、どのmomentの機会が大きいか?を判断して戦略を決めていくのですが、このpts journeyは「定量的な」pts joueneyで「定性的な」要素がまだ組み込まれていません。

定量的にみたら「通院してない患者を通院させる」のmomentで漏れている患者数が一番多いので、最も機会が大きいというのは確かですが、「機会をビジネスに変える、自社製品の売上に繋げる」のには、そのmomentの(量的大きさ)×(質的実現可能性)なので、定性的にも判断する必要があります。

「通院してない患者を通院させる」はもちろん、漏れている患者=量的な機会はとても大きいのですが、Brand名を提示したDTCができない日本ではなかなか難しいものです。pts journeyで上流に行けば行くほど、自分たちがアクションをしてもインパクトを出すのが困難になります。ですので、定量、定性の両面からmomentをしっかりと理解、分析し「どのmomentが注力すべきmomentなのか?」の優先順位をつけていかなければなりません。

多くのBrandで「Brand choiceで自社製品を選んでもらう」は最優先になることがとても多いです。「Brand choiceしか取り組むmomentがない」なんてブランドがあって、その場合はBrand choiceをもう少し分解したほうがいい場合もあるのですが、その話はまたの機会に。

製品Xで我々が注力したほうがいい可能性があるmomentは、

  1. Seek treatment :症状を感じたら花粉症で通院する
  2. Brand Choice:医師が抗ヒスタミン薬の中で製品Xを処方する
  3. Taking frequency:服薬回数/花粉症シーズン(1回 or 2回)
  4. Pts acceptance:製品Xの患者受入

製品Xの場合、Treatment choice=抗ヒスタミン薬を花粉症の治療に選択する、はもう標準的に治療なので抜いていますが、Treatment choiceが入ってくるBrandは多いです。

insight時代のmarketingでは、顧客の本音が大事、としつこく書いていますが、本音は質的情報なので、各momentを質的に考えることはとても重要ですが、どんな定性的な情報を考えたらいいかというと

  • Key stakeholder は誰か?
  • Key stake holder のそのmomentの本音は?
  • Key stakeholder のdriver/barrierは?

あたりからまずは書いてみましょう。まずは「(1)Seek treatment :症状を感じたら花粉症で通院する」から考えてみましょう。Key stakeholderは、まずは患者さん本人です。患者の家族に促されて通院、友達に促されて通院、ってのもあるので、患者の周囲のひとたちもstake holderではありますが、まずは患者本人について深掘りしていきましょう。このときに「花粉症で毎年通院している患者」「症状があるのに通院しない患者(薬局で薬を購入している人)」「症状があるのに通院しない患者(薬局で薬を購入しない人)」の3パターン(=患者定量調査のリクルーティング条件)の人たちになりきって、本音を深掘りします。この時に、定性/定量調査の結果、特に1-7同意の質問の量グループの患者の差は大きなヒント&違いのエビデンスになります。



吹き出しの中が「花粉症の症状で毎年通院する/しない」に関する各患者の気持ち本音、行動です。Brand TeamのWorkshopなどでは皆でまずはPost-itで出してまとめる、みたいなにするのがいいと思います。注意点はここでは「花粉症の症状で毎年通院する/しない」というmomentに集中して書くことで、ついつい拡散して製品Xについてとか書きたくなるのですが、ここはこのmomentの患者の気持ちや本音を深く考えて、insightにたどり着くのが目的なのですから。

「花粉症で毎年通院している患者」からはDriverが、毎年通院していない患者からはBarrierも出てきて、ここでは定量調査の結果(1-7同意度の同意top3の合計)の数字を入れています。これは各Segmentのペルソナを作るときに、調査結果からペルソナの重要要素の定量的な情報を入れておくと、ぐっと説得力が増すので試してみてください。その為にも1-7同意質問を嫌がらず、定量調査に入れておきましょう。

こうやって定性的な情報を付加して考えてみると、OTCで満足している患者さんや、薬も飲んでいない患者さんに通院してもらうハードルはかなり高そうです。Launch後しばらくはBrand Choiceに注力したほうがよさそうです、というような優先順位の判断ができるのではないでしょうか?

Brand choiceについてもやってみましょう。まずは医師から。定量調査の結果を製品Xの処方意向が高い医師(50%以上)と低い医師(50%未満)でクロス集計をして、その結果も大いに使いながら、患者さんと同じように考えていきます。新製品の場合は、私はまずは処方意向の高い低い(あるいはhigh、middle、low)で切ってみることが多いですが、それ以外のも「こんな切り方がいいかも?」みたいなアイディアがあったらぜひ試して、患者調査結果をクロス集計して結果をみてください。



(手抜きでPts journey調査の提示資料とほぼ同じ内容ですが、調査前に立てていた仮説が合っていた、という設定ということでご理解ください)

こうしてみると製品Xの「1回内服で1か月効果持続」はインパクトが強くて処方意向につながるのですが、製品Xをあまり処方しない医師は「効果が長く続くのは良いと思うが、副作用が出た時が心配」というのと「そもそも今の抗ヒスタミン薬で困っていない」というのがBarrierになっていると思われます。

お気づきの方もいると思いますが、この医師の処方意向の高/低で切り分けた→Segmentに繋がっていくことが多いです。Launch時には処方意向の高い医師と、低い医師がどういう考え、気持ちに違いがあるか?を洗い出していてAdoption ladderを作り、それでSegmentを分けるのががBrand Teamの」メンバーにも分かりやすくて、MRも理解しやすいのでお勧めしています。今回の処方意向別も

  1. 製品Xを知る = awareness 
  2. 製品Xを一部の患者に処方(50%未満)Trial/usage
  3. 製品X抗ヒスタミン薬の第一選択薬(50%以上)Loyal customer

ってな意味では、この処方意向での分け方もAdoption ladderに近い考え方ですね。Segmentについては別の記事にてしっかりと触れたいと思います。

製品Xへの処方意向が低い医師は製品Xはいいと思うけど、副作用が心配、今の治療薬で特に困ってないのがBarrierというのが分かってくると、とるべきアクションが明確になってきます。Launch初期の段階では「製品Xの1回服薬で1か月効果持続」「安全性は既存薬と同程度」というのをしっかりと浸透させ(ここはSoV至上主義時代とまったく同じ)で、その後(ここからはInsight時代)医師や顧客の潜在ニーズやバリア、製品Xの場合は

  • 医師が特に既存の抗ヒスタミン薬で満足している
という点については、患者の気持ち、ニーズがこんなにあることを気づかせる仕掛けを作ったり、、、みたいなアイディアがわいてくると思いますが、そこはaction planningのところで触れます。

また「医師が製品Xを進めても患者が拒否」することもあるので、製品Xに対する患者もやってみましょう。


と言いつつ、これもpts journey調査の提示資料そのままで手抜きですが。ここでも「医師が自信をもって勧めたら患者は製品Xを受け入れる」というのが分かってきていて、ここも医師にどうやって製品Xを自身をもって患者に勧めてくれるようになるか?を考えなければなりません。

Pts journeyの全てのmomentにこの作業をする必要まではないと思いますが、特に重要なmoment、今回はBrand Choiceを中心に考えてワークショップなどをBrand Teamで実施するのがいいんじゃないでしょうか。次回触れるSegmentはBrand Choiceが製品Xでは圧倒的に(Launch時は)重要なので、ここのmomentで医師Segmentは作ってしまっていいと思います。

Pts journeyの定性化=Insightを吹き込む話でしたが、医師や患者になりきって、調査結果を見ながら色々と考えていたらつい脱線してしましましたが、Pts journeyを定性化すると各momentの優先順位付け、SegmentやKey message、アクションにつながる情報もしっかりと整理できますので、ここをしっかりとしないケース(SoV至上主義の亡霊?)が割とあるのですが、そこはInsight marketing時代に適応してやってみることをお勧めします。

ほぼ毎日更新してきたブログですが、ついに書き溜めていたストックが無くなってしまいました…次からは少し更新頻度が落ちると思いますが、週に1-2本は最低頑張ってUploadして、ゴールデンウイークくらいには製品XのBrand Planを完成させたいと思います!


2023年4月9日日曜日

(9) 定量化pts journeyとForecastモデル

insight時代のBrand Plan

  1. Pts journeyの定量化
  2. Pts journeyの定性化
  3. Pts journey定性調査、医師インタビュー 
  4. Pts journey定性調査、患者インタビュー 
  5. Pts journey定量調査、その前に 
  6. Pts journey、医師定量調査 
  7. Pts journey、患者定量調査 
  8. 調査結果をもとにPts journey定量化
  9. 定量化pts journeyとForecastモデル
  10. Pts journeyにinsightを!
  11. Current/desired peceptionを考えよう
  12. Insightワークショップをやってみよう!
  13. Segmentation、言うは易く行なうは難し
  14. Brand strategy:戦略って?KSF/CSFって?
  15. Sales Force Sizing:MRを何人に?(Digital時代を意識しながら)
  16. Data generation :  Brand Teamでどう取り組むか?
  17. Data generation workshopをやってみよう
  18. Brand Planまとめ:Senior managementへのプレゼンをしよう!
前回、pts journeyをこのように定量化しました。



「定量化したpts journeyとForecastモデルってどんな関係があるんですか?」って聞かれたら「愚問です、定量化したpts journeyは(ほぼ)Forecastモデルそのものです」って答えています。同じものなので、Brand Planの中の患者数、処方率などの数字はForecast modelと同じなのが自然なのですが、pts journeyの数字と、Forecast modelの数字が一致していないケースは結構目にしますし、数字が守備一貫していないプランはReviewで突っ込まれます。

Pts journeyを作成しているBrand managerがForecastモデルを作成、いじっていたら数字が一致していないことはあまりないのですが、そうでない場合(forecaster、insight managerがforecastしてるなど)がありまして、そんな場合で数字が一致していないと「あー協働が上手くいっていないんだな~危険だな」というサインだと思うようにしています。

私の場合はPts journeyの定量化とForecastモデルの作成は並行して作成、Updateすることが多いです。どうするかというと、まずはシンプルに先に示したスライドをEXCELにします。


これだとほぼそのままPowerPointのスライドがEXCELになっただけなので、Forecastモデルにする=シミュレーションできるように、Inputセルがどこか?が分かるようにしましょう。


私はInputするセルはこんな感じで黄色にするようにしています。あとはData sourceを必ずモデルのEXCELに入れておきます。そうしないと「後でこのAssumptionの根拠はなんだったけ?」という時や、担当者が変わったときに困りますので。この画像のEXCELだと、まだ横に年、月で広げていっておらずForecastモデルにはなっていないので、横に年単位でまずは広げてみましょう。

だいぶForecastモデルっぽくなってきました。ざっくりなモデルなので、「毎年通院している患者」「毎年じゃないが通院経験のある患者」「通院経験のない患者」というカテゴリーは使わず、重症度別の通院患者率を少しずつ上げていくシミュレーションができるようにしています。患者調査を毎年Trackして「重症度別の通院率」を割り出すには、患者に症状を答えてもらって、その症状に応じて我々側で重症度を判断→通院率など計算することもできますので。

もし将来的に「毎年通院している患者の製品Xシェアが60%」とかになって、花粉症で毎年は通院しない患者や、通院したことがない患者を攻略することが優先度の高い戦略になった場合は、モデルもそのように変更します。逆に、今、そうしていないのは「Launchしてからしばらくは毎年花粉症で通院している患者+毎年じゃないけど通院している患者=pts journeyでいうとこの抗ヒスタミン薬を処方されている患者群が優先事項が高いターゲット顧客だからです。このように戦略に合わせて、Forecastモデルは変更しているケースは少ないっちゃ少ないのですがぜひやってみてください。ブランド戦略、KPIが変わるならForecastモデルも変えたほうがいいかも?くらいの意識はもっておいたほうがいいと思います。pts journeyとForecastモデルが連動しているとシミュレーションが簡単にできます。またKPIとの連動もしたほうが良くて、毎月の新規患者獲得数がKPIなら、その人数をinput項目(黄色網掛け)にしたほうがいいですし、シェアがKPIならそちらをinput項目(黄色網掛け)にしたほうがいいのです。

製品XのForecastモデルの話に戻ります。通院率を含め、Pts journeyで特定した、我々が影響を与えることができる、影響を受けるmomentとその機会は、と年々変わっていく薬価を含め
  • 通院率
  • 通院回数/花粉症シーズン
  • 製品Xの医師の処方意向
  • 製品Xの患者受入
  • 薬価
をAssumptionとしての年単位のモデルはこれで完成しす。Launch1年半前くらいだと、生産計画を出さないといけない時期になっているので、実際には月別で同様のモデルを作成します。この1年単位のモデルを月に分解する手もあるのですが、実際の売上やKPIの更新も毎月するので、それならForecastモデルも最初から月単位にしておくことがお勧めです。年単位に集計するのは簡単なので。

Forecastモデルの要件についてはここでも書いていますが、ともするとBrand Teamの人は誰も扱えない、シミュレーションが困難な、Forecast職人の自己満足ともいえる「精緻だけど使い辛いモデル」になることがあります。100%の予測精度を誇るForecastモデルは無理な話なので、現実の毎月の売上でForeastモデルをvalidationかけて、上下5%くらいのずれは許容しつつシミュレーションがしやすい、扱いやすい、simpleなForecastモデルを使うことをお勧めします。

Linkedinのコメント欄で「定量調査の結果で得られた処方意向をどうForecastモデルで使うか?」という質問をいただきました。市場調査の質問票の設計がしっかりとなされている、なるべくバイアスを避けられていることを前提としてですが、

市場調査の処方意向
=当該製品の製品特性、key messagesが届いた時の医師の処方意向
≒ピークシェア

と解釈して私は数字を使っています。今回の場合は、製品Xの医師の処方意向は40%なので、製品Xのピークシェアを40%としてForecastモデルに組み込みますので、上記の年毎のもモデルもそうしています。なぜそうなるかというと、調査設計上、抗ヒスタミン薬を処方する可能性がある医師全員に=市場Coverage100%の状況で、調査上で提示した製品特性、Key messages、Pros/Consを医師が理解した上での処方意向は、実際のLaunch後でも同様に「抗ヒスタミン薬処方医が製品Xの製品特性、Key messages、Pros/Consを医師が理解した上での処方意向」と解釈していいと思います。ただし、実際の市場のCoverage、口座開設などに応じて、例えばCoeverageが80%なら、そのぶんディスカウントしましょう。

過去に自分が携わった新製品、適応拡大のLaunch前の定量調査による処方意向と実際のPeak shareを調べたことがあるのですが、±20%に入っている、調査での処方意向が50%の場合、実際のpeak shareは多くのケースで40-60%の範囲に収まっていましたので、このような解釈で実務上は問題ないのかな、と思っています。

Forecastでもうひとつ、どうしよう…って思うのがPeak shareに至るまでのuptake curveです。製品特性(画期的度合い)、市場の競合状況、その市場にて発売された順番、などいろいろな要素が絡み合いますが、似たような状況の製品のUptakeをベンチマークにする、よく行われますし私も賛成です。が、実際にはなかなか似たような製品、市場が見つからない場合も多いので、その場合は1年目は2週間の処方制限もあるので抑えめ、その後はピークまで3年くらいで…みたいな感じを基本にTeam合意で作ってしまうことも多いです。ここに膨大なエネルギーを割いても、、、とも思いますし。

あと定量調査で医師や薬剤部に「いつ頃に採用になるか?使用し始めるか?」と聞いたこともあるのですが、あまり当たった経験は私はありません。ですので、悩ましいのですが、ベンチマークとTeam合意でLaunchして、発売のUptakeを見て、適宜修正していくのが現実的なのかな、と思っています。

2023年4月8日土曜日

(8) 調査結果をもとにPts journey定量化

insight時代のBrand Plan

  1. Pts journeyの定量化
  2. Pts journeyの定性化
  3. Pts journey定性調査、医師インタビュー 
  4. Pts journey定性調査、患者インタビュー 
  5. Pts journey定量調査、その前に 
  6. Pts journey、医師定量調査 
  7. Pts journey、患者定量調査 
  8. 調査結果をもとにPts journey定量化
  9. 定量化pts journeyとForecastモデル
  10. Pts journeyにinsightを!
  11. Current/desired peceptionを考えよう
  12. Insightワークショップをやってみよう!
  13. Segmentation、言うは易く行なうは難し
  14. Brand strategy:戦略って?KSF/CSFって?
  15. Sales Force Sizing:MRを何人に?(Digital時代を意識しながら)
  16. Data generation :  Brand Teamでどう取り組むか?
  17. Data generation workshopをやってみよう
  18. Brand Planまとめ:Senior managementへのプレゼンをしよう!

製品Xの発売2年前にLaunch Brand Teamが立ち上り、定量→定性調査を終えてここまでくるまでに半年くらいかかっていると思います。発売まで1年半!日本のSenior managemetn、APAC、Globalも「具体的なLaunch Brand Planを!アクションを!KPI!!」というプレッシャーを毎日感じるようになる頃です。

そのプレッシャーは「Launch PMO (project management office)」が立ち上げられ、突然Launch project managerが社内から着任し…」ってなこともあるんですが、Launch project managerは

  • launch経験
  • Marketing経験とスキル
  • Forecast、Researchの経験、スキル
  • Project managermentスキル

が必要でして、かなり高度な経験とスキルを求められるのですが、Brand Managerレベルが任されてオロオロして失敗するケース、あるいは外部の外部のコンサルタントが入ってきて、製薬Marketingの知識なく、ガンツチャート職人となっているだけのケース、製薬Marketingの経験はあるものの、日本語ができない外国人の外部コンサルタントが派遣されてコミュニケーションに難があり仕事が増え遅れるケースなどがあり、なかなか難しいものです。(ちょっと脱線してしまいました)

話をPts journeyの定量化に戻します。調査前のWeb検索、文献、デスクリサーチ、定性→定量調査を実施して、ここまで来たらLaunch Brand Planを作成する情報はほぼ揃ったと言ってもいいと思います。

今回はPts journeyの定量化の中に含まれるか微妙ですが医師定量調査を「市場全体に拡大できる」設計にしています。今回の医師定量の調査の「抗ヒスタミン薬を花粉症の患者に過去1年間に1例以上投与経験がある医師」と広く設定して、調査を依頼は「調査会社のパネルに登録している医師全員」にしておくと(調査対象合致医師)/(調査依頼医師)の割合から「抗ヒスタミン薬を花粉症の患者に過去1年間に1例以上投与経験がある医師」の人数が推計できます。この時にスクリーンアウト=調査対象じゃなかった医師の診療ごとの人数まではもらえるように事前に調査会社に依頼しておきましょう。これは調査会社に言っておかないとデータもらえません。

私自身、花粉症の市場調査をしたことが一度もないので、どんな結果になるか妄想とデスクリサーチで調べるしかないので、けっこうここからは現実とはズレると思いますのでご容赦ください。

まずは「花粉症を治療している医師が全国に何人いるの?」「どのくらいの施設で花粉症治療、抗ヒスタミン薬が処方されているの?」の検討をつけましょう。

その際の分母に役立つのが、「厚生統計要覧」です。全国の医師数(診療科別も)病院開業医の数が分かります。

であることが分かります。医師数ですが

ここらへんの数字は製薬業界でMarketingに携わる人は頭の中に記憶しておいて損はありません。あとは調査結果から

  • HPの耳鼻科、アレルギー科の100%の医師
  • HPの内科の50%の医師
  • HPの眼科の50%の医師
  • 開業医の50%(診療科問わず)
ということが分かったとします。そうすると、全国の医師数×上記

  • HP耳鼻科:3,937*100%=3,937医師
  • HPアレルギー科:102*100%=51医師
  • HP内科:21520*50%=10,260医師
  • HP眼科:4,886*50%=2,443医師
  • 開業医10万人+50%=5万人

合計で16,651人のHP勤務医、開業医5万人の合計66,651人の医師くらいが全国で抗ヒスタミン薬を処方している、という推計ができました。(本当はもっと多いのか、少ないのか、実際に調査したことないのでわかりませんが…)

患者さんについても全国で花粉症の症状があるのが5000万人、うち処方内服薬を服用しているのが1600万人、市販内服薬を服用しているのも1600万人とWeb検索から作った粗々Pts journeyで作成しましたが、患者定量調査でもそのくらいでもその割合(半々くらい)が確認されたとします。

定量調査結果がでると、どんどんPts journeyが詳細にわたって分かってきて楽しくなってくるはずです。患者ですが、5000万人を

  • 毎年、病院で処方薬をもらって服薬する患者=1000万人
  • 毎年ではないが処方薬をもらい服薬することもある(あった)患者1500万人
  • 病院の処方薬を服薬しない患者=2500万人
というのが調査結果から分かったとします。同様に重症度、抗ヒスタミン薬の処方、製品Xの使用意向等々をまとめるとこんな感じの定量のPts journeyができました。


定量のPts journeyは「作成すること」が目的ではありません。Pts journey(定量)をどう使うか?が大事でして、一番の目的は「どこに機会があるか?」を定量的に把握することです。上流から考えてみましょう。

(1)患者が毎年通院してもらうようにする
5000万人のうち、毎年通院しているのは20%の1000万人なので、全員を「毎年通院させる」ことができれば、最大で製品Xの売上が5倍、もちろん軽症の患者の通院が増えることになるので、5倍にはならないのですが、それでも大きな機会がここにあります。

毎年通院をしていない患者にも製品Xの情報を提示して、けっこう大きな服薬意向がでていますので、なんとか1カ月に1回のメッセージを届けて、製品Xをきっかけに、製品Xを求めて患者さんを通院させるような仕掛けをしたいところです。

ただし、Pts journeyは上流(≒疾患啓発、受診促進)の行動変容を促すのはとても大変で、成功例はそんなに大きくありません。Globalなどは定量pts journeyを見ると「機会が大きい!なんとかしろ!」と言うことを多く経験していますが、DTC的要素も大きく、できることできないことがあり、ここは野心的に、色々なアイディアを考えるのと同時に、冷静に実現可能性も考えないといけません。

(2) 抗ヒスタミン薬の処方を上げる (Treatment choice)
花粉症の患者ですでに抗ヒスタミン薬の処方をされる人がほとんどですので、ここの機会を増やして製品Xの売上を増やすのは難しいです。ここは「薬物治療」「カウンセリング」など治療のカテゴリー毎の選択なのでTreatment choiceと言われることが多いです。

(3) 抗ヒスタミン薬の中で製品Xを選択する%を上げる(Brand choice)
ほとんどのBrandでこのmoment=Brand choiceが一番大事になることが多いです。製品Xの場合は「医師の処方意向=40%」です。競合が多い、後発の薬剤ですが製品Xは「1カ月間有効」というかなり分かりやすい差別化ポイントがあるので、これだけ高い処方意向が定量調査の結果として現れたと思います(もっとあがるはずだ!って言う人ももちろんいるでしょうが)実際に「この40%をもっとあげる」ためには「なにが製品Xの処方のDriver/Barrierになっているか?」を医師の本音ベースで知る必要がありますので、そこは定性的なPts journeyのところで示したいと思います。

(4)患者の拒否率を下げる
医師が患者に処方したい、と思っても20%の患者は拒否するという結果が出ています。この20%は少ないようですが、拒否率を下げることは売上にけっこう影響します。ここでも「なぜ患者は医師に製品Xを処方提案されても拒否するのか?」の理由を本音ベースで知る必要があります。

(5)製品Xの処方回数をあげる
調査上、「製品Xは平均で1.3回処方される」という結果です。花粉症の季節は約2カ月なので、最大2.0になるはずですが、花粉症が特にひどい時期だけ服薬したい?などの理由から平均処方回数が少なくなっています。ここも同様に医師・患者の本音、ニーズを把握して対策を考える必要があります。

実際のところ、もう半年くらいずっと花粉症の市場と製品Xについて情報収集をして、たくさん頭をつかってきたので、ここに書いていることは自分たちの考えを整理してまとめる、という感じの作業になるかもしれませんが、どこかに落とし穴はないか?隠れている機会はないか?など一応は注意を払ったほうがいいとは思います。

またこのような形でpts journeyを定量化してまとめてスライドは日本のSenir managementやGlobalの人たちに「日本の花粉症市場がどうなっているか?」が簡単に、定量的につながりますし、ほとんどの会社でこのようなPts journeyを定量化したものがBrand Planのtemplateに入っていると思いますし、Brand上市後も毎年Updateしていくことになるとても使い勝手のよいものです。

次回は定量化したpts journey → Forecastモデルについて、を書きたいと思います。

2023年4月7日金曜日

(7) Pts journey、患者定量調査

insight時代のBrand Plan

  1. Pts journeyの定量化
  2. Pts journeyの定性化
  3. Pts journey定性調査、医師インタビュー 
  4. Pts journey定性調査、患者インタビュー 
  5. Pts journey定量調査、その前に 
  6. Pts journey、医師定量調査 
  7. Pts journey、患者定量調査 
  8. 調査結果をもとにPts journey定量化
  9. 定量化pts journeyとForecastモデル
  10. Pts journeyにinsightを!
  11. Current/desired peceptionを考えよう
  12. Insightワークショップをやってみよう!
  13. Segmentation、言うは易く行なうは難し
  14. Brand strategy:戦略って?KSF/CSFって?
  15. Sales Force Sizing:MRを何人に?(Digital時代を意識しながら)
  16. Data generation :  Brand Teamでどう取り組むか?
  17. Data generation workshopをやってみよう
  18. Brand Planまとめ:Senior managementへのプレゼンをしよう!

患者定量(Web調査)は私は大好きなんですが「予算の関係もあるし医師調査を優先」って判断がされることも多くて、実施されることが少ない調査だと思います。オンコロジーや希少疾患のようにそもそも患者人数が少ない、リクルートできない場合も多いですし、患者が治療選択への決定権が少ないことが多いのでついつい後回しになりがちですが、pts journey時代にはその名の通り患者のunmet needsや本音がブランドの成功=pts outcomeの最大化に重要なことはこのブログを読んでくださっている皆さんならお分かりだと思います。ですから、可能なら新製品発売前には1回くらい、最低限定性調査はやっておきたいものです。

一方で患者アンケートは公的機関、民間企業、製薬会社で実施されているものも多くありますので、「疾患名 患者 アンケート」で検索すると多くの情報が得られます。Pts journeyを作成する前、調査前にこういう情報はEXCELに全部まとめておくことをお勧めしていますが、患者調査も公開情報で分かっていること意外の部分をしっかり聞く調査設設計にするためにも公開されている患者調査、アンケート情報は調べておきましょう。

花粉症に関して調べてみると

平成28年度に花粉症患者実態調査(東京都)
https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/kj_kankyo/kafun/jittai/

花粉症に関するアンケート調査(株式会社アスマーク)
https://www.asmarq.co.jp/data/mr201804hayfever/

-花粉症に関するアンケート調査 -(株式会社アイスタット)
https://istat.co.jp/investigation/2023/02/result

これ以外にもたくさんでてきますが、Pts journey事前作成の時に反映しておくことと、定量調査の前にも再確認しておきましょう。

製品Xの場合、花粉症患者で全国5000万人もいるので定量調査の調査対象を集めるのは簡単、そして患者調査の回答謝礼は医師に比べると大幅に安いので、サンプル数を多くしてもコストはそこまで上がりません。今回の花粉症調査でpts journey を定量的に明らかにする、各momentの考えニーズなどを定量的にする為にn=500くらいにします。

  • 症状あるのに通院しない花粉症の人
  • 毎年通院してる人
  • 通院してたけどやめた人

みたいに患者パターンが別れるのでどうしてもn数が多くなるし、質問もそれぞれの患者群に対して作る=樹形図みたいに途中で分岐する質問票を作らないといけません。

調査対象は「花粉症の症状を自覚して自分が花粉症だと思う人」です。これを日本の人口(子ども超高齢者は除く)を反映した集団に調査回答を依頼して可能な限り日本全体に調査結果を拡大できるようにします。

花粉症の症状自覚してる患者(全員)への質問

まずは全員共通に聞くことですが

  • 年齢、就業状況など基本情報
  • 花粉症の重症度(日常生活への支障度合い)
  • 通院経験、現在の通院状況(これで質問票分岐)
くらいかなと思います。通院経験、通院状況で
  1. 花粉症で毎年受診してる
  2. 花粉症で年によって受診したりしなかったり
  3. 花粉症だけど受診したことがない
に分けます。ひょっとしたら就業状況、重症度に差があるかもしれません。ここから調査票が3つに別れるので大変です。

花粉症で毎年受診してる人

年に(花粉症1シーズンに)の何月に花粉症で通院しているか?

を定量的にきいて医師調査と同じように1-7同意質問で花粉症治療についての考えを聞きます
  • 花粉症で通院するのは治療薬をもらう為である
  • 薬局で買える薬でなく病院で処方薬ををもらうのは、病院処方薬の方が効果が高いからだ
  • 薬局で買える薬でなく病院で処方薬をもらうのは、その方が結果的に安く済むからだ
  • 薬局で買える薬でなく病院で処方薬をもらうのは、毎年そうして効果があることが分かって安心感があるからだ
  • 同じ薬がもらえるなら病院はどこでもいいと思う
  • 通院の負担(病院に行く時間、待ち時間など)で花粉症での通院をためらうことがある
  • …
この質問への回答から患者さんの本音に基づくペルソナ作成ができるように質問を作成していきます。

花粉症治療への閑雅を聞いたら次は抗ヒスタミン薬についてです。「抗ヒスタミン薬」と患者さんに聞いても分からないので「花粉症の飲み薬について」で基本情報を聞きましょう。
  • 飲み薬の種類
  • 一回の通院で何日分処方してもらうか
飲み薬についても1-7同意の質問を聞きます
  • 病院でもらう薬の有効性(花粉症の症状を抑える力)には満足している
  • 病院でもらう薬の副作用(眠気など)には満足している
  • 病院でもらう薬の価格、自己負担金額には満足している
  • 毎日服薬するのが面倒で飲み忘れてしまうことがある
  • 毎日服薬したほうがいいのは知っているが、症状が出た時だけ服用している
  • 症状が出た時にだけ服用して、薬を節約している
  • 今、服薬している薬に大きな不満はない
ここでも定性調査からの発見、気づきをどんどん聞いていきましょう。実は患者さんは頓用する人が多くて(特に軽症の患者さんは)1ヶ月ずっと効果があることにあまりニーズが乏しい可能性だってあります。

「花粉症で年によって受診したりしなかったり」の人達への質問も同じような感じですが、「毎年受診しない理由は?」は追加で聞いたほうがいいでしょう。この人たちが毎年通院するようになれば将来的に製品Xの売上に繋がる可能性あります。
  • 毎年受診しようと思っているけど、面倒でついつい忘れてしまう
  • 以前病院でもらった薬が残っているので、毎年通院しなくても薬が足りることが多い
  • 病院でもらった薬がなくても、忙しいと病院にいかずに市販薬ですませてしまう
  • 薬局で買える薬がよくなったし、値段もそこそこなので病院にこれからはあまりいかなくてもいいかな、と思う
  • ...
等々、「毎年受診をしない理由」の本音がでてくるような質問をしっかり考えましょう

花粉症だけど受診したことがない患者
Web検索で作成した粗々定量Pts journeyでもが1000万人以上いそうです。この中でも市販薬を使っている人もいるので、定量的に取っておきましょう。

Q:花粉症の症状軽減のために昨シーズン実施したことをすべて選択ください

□ 食事に気を遣う
□ 花粉症に効果がありそうなサプリを摂取する
□(病院で処方された薬ではなく)薬局で飲み薬を購入
□(病院で処方された薬ではなく)薬局での点鼻薬を購入
□(病院で処方された薬ではなく)薬局で点眼薬(目薬)を購入
□ 運動睡眠に気を遣う
・・・

上記の「実施したこと」にについて、効果や負担(費用、努力)、満足度について評価してもらってもいいかもしれません。

Q:「花粉症に効果がありそうなサプリを摂取する」とご回答いただきましたが、有効性と負担(費用、努力)、満足度を10段階で評価ください

効果
1=まったく満足していない~10=非常に満足している
負担(費用や要する努力)
1=負担は大きい~10=負担はまったくない

*参考までに調査票では慣例的に
複数選択:□、MA(multiple answer)
単選択:〇、SA (single answer)
と表記することが多いです。

この人たちにも1-7同意質問で花粉症治療についての考えを聞きましょう
  • 花粉症の症状は病院に行くほど重症ではない
  • 花粉症で病院に行くのは面倒だ
  • 花粉症で病院に行くのはお金が掛かるので行かない
  • 昔病院で薬をもらったが、効果や副作用(眠気)でいいイメージがない
  • 病院にいったほうがいいと思っているが、ついつい足が遠のく
  • 病院にいったほうがいいな、と思っているうちに花粉症の季節が終わって症状がなくなる
  • …

みたいに病院になんでいかないの?その本音は?を定量化していきましょう。

製品Xについての考え

ここも基本的には定性調査と同じでいいと思います。まずは製品Xの情報と、を患者のコメントを見てもらって回答してもらいます

【製品Xの情報】

  • 作用機序:抗ヒスタミン薬(処方される花粉症の飲み薬の多くは抗ヒスタミン薬)
  • 用法用量:1か月に1回(1回飲むと効果が1か月持続)
  • 適応はアレルギー性鼻炎(多くの抗ヒスタミン薬と同じ)
  • 安全性、副作用は既存の飲み薬と同程度
  • 1日あたりの薬価は100円(患者の自己負担は3割負担で1日30円=1か月約900円)
  • (既存のものより1.5倍程度)

製品Xにの製品情報をみて、1-7同意で患者さんの聞きます。この質問は全員に聞きますが一部質問の調整はする必要があります

  • 1回飲んだら1か月効くのは飲み忘れもないし良いと思うので試してみたい
  • 良いと思うが、既存の薬より1.5倍なので試そうとは思わない
  • 既存の薬で特に困ってないので、製品Xを試したいと思わい
  • 効果1か月=副作用も1か月続くのが怖い
  • 効果1か月=副作用も1か月続くのが怖いが、医師から勧められて説明をされたら試してもいいかな、と思う
  • 症状が出たときに薬を飲んでいるので、1回飲んだら1か月効くのは特に魅力的ではない
  • …
このくらい聞いておけば、Pts journeyの定量化、医師、患者のInsightも定量的に、将来作るSegment毎にペルソナを作る元情報にしっかりとなると思います。

医師と患者の定量調査の結果を比較することで有益な情報が鰓得ることもありまして。例えば製品Xの医師と患者の処方(使用)意向を比較すると、医師>患者の場合は「医師に患者に同意を得るよう説得しないといけない」ってことが分かりますし、逆に患者>医師の場合は、「患者が医師に薬剤がリクエスト」「医師に患者のニーズを理解してもらう=気づきをあたえる必要性」みたいに使うこともできます。以前も書いた通り有意差検定して>を決定するってのはさすがに難しいのですが、医師や患者へのインタビューした「「花粉症患者、医師の本音」をここまで長いこと考えてきたBrand Teamのメンバーなら、判断はできると思うのです。このあたりがMarketingのSceinceじゃなくてArtな部分だなと思っていますが、MarketingってArtな面も、Scienceな面も両方あるよね、っってのがMarketingの本質と思っています。

4回をかけて詳細に市場調査のデザインの仕方を説明してきました。もし製薬市場担当者の方がこれらの記事を読んでいたら「自分はここまでできているか?」を自問自答して、足りないな、って気づきが得られたら次の調査でしっかり活かして行きましょう。

製薬会社のMarketing、Brand Managerの方にはちょっと内容がテクニカルで難しいかもしれませんが、市場調査はBrand戦略のベースとなる情報、Evidenceのようなものなので調査目的、設計方法などを知っておいて損はありません。

Sov至上主義時代の市場調査と言えば、ATU調査、Tracking調査が主(=活動の結果おこったことの見える化)で、どちらかというとMarketingと市場調査担当者の間でキッチリと境目が分かりやすく分業されていました。Insight marketing時代になると、Brand Managerも市場調査担当者も「顧客の本音は何?」と”顧客の本音を調査で知って戦略・活動を立案”する重きが増してきましたので、Brand Managerも調査担当者の視点を、逆に調査担当者ももっとBrand戦略、活動の全体像を把握して調査設計をする必要があるのです。

2023年4月3日月曜日

(2) Insight時代のBrand plan:Pts journeyの定性化

insight時代のBrand Plan

  1. Pts journeyの定量化
  2. Pts journeyの定性化
  3. Pts journey定性調査、医師インタビュー 
  4. Pts journey定性調査、患者インタビュー 
  5. Pts journey定量調査、その前に 
  6. Pts journey、医師定量調査 
  7. Pts journey、患者定量調査 
  8. 調査結果をもとにPts journey定量化
  9. 定量化pts journeyとForecastモデル
  10. Pts journeyにinsightを!
  11. Current/desired peceptionを考えよう
  12. Insightワークショップをやってみよう!
  13. Segmentation、言うは易く行なうは難し
  14. Brand strategy:戦略って?KSF/CSFって?
  15. Sales Force Sizing:MRを何人に?(Digital時代を意識しながら)
  16. Data generation :  Brand Teamでどう取り組むか?
  17. Data generation workshopをやってみよう
  18. Brand Planまとめ:Senior managementへのプレゼンをしよう!

Pts journey を(ざっくりと)定量化しました。SoV至上主義時代も実はPts journey の定量化はやっていて「leakage analysis 」と言って、どこで患者を失ってるか→どこ(Brand choiceとか)に注力すべきか?という分析は行われていました。今回のテーマはpts journeyを定性的に考える、でして、insight時代のマーケティングに必須な各momentでの顧客(患者、医療関係者)の気持ち、本音を彼ら彼女らになりきって、自分に憑依させて(ガラスの仮面の北島マヤのように)考える力が必要です。

既発売のBrandだとその領域の知識がBrand Teamにあるので、Pts journeyのUpdateも簡単ですし、花粉症のように身近な疾患だと新製品でも想像力を働かせて、Brand teamで集まってワークショップしたらけっこう多くの情報が集まってInsightに近づけます。希少疾患や癌など、身近でなく感情移入、憑依が難しい場合は、私は患者ブログ、SNS(特にtwitter)で情報を収集します。(患者ブログ、twitterの患者情報まとめEXCEL作ったりもします)そうすると、患者やその家族の気持ちが正直に書かれているものが多くあり、「もし自分がその病気だったら?」って感情移入、憑依することがけっこうできたりします。

花粉症のPts journeyに戻ります。

これが前回作成したWeb検索した情報をもとに作成したざっくりとしたpts journeyです。こうやってみると、まだまだ粗いですけど、この段階ではこんなもんでOKです。各momentにおいて顧客、スギ花粉症の場合は患者と医師が何を考えて、行動して、望む行動をするドライバーとバリアを考えて行くのがいいと思います。まずは「症状自覚→通院」についてまず、考えてみましょう。

症状自覚→通院

ここでの考えるべきポイントは「花粉症の症状を自覚したら、なんで病院に行くの?行かないの?」を想像して考えることです。

花粉症の症状で病院に行く理由

  • 症状で日常生活、仕事に支障がでる、
  • 病院に行く手間、時間、お金をかけてでも症状をなんとかしたい
  • 新しい処方薬は眠くならないのを知って安心して処方薬を貰えるようになった
  • OTCと比較検討したら30日分以上処方してもらえたら処方薬のほうが安い
  • それでも病院に行くのは面倒くさい
  • …
花粉症の症状で病院に「行かない」理由

  • 処方薬がいいのはわかるけど、病院にいくのが面倒
  • OTC出てきたしそれで充分、少し高いけど、病院に通うよりマシ
  • 毎年花粉症の症状つらいけど、なんやかやで我慢してたら1カ月経って花粉症の季節が終わって、花粉症の症状が改善されている
  • 処方薬って副作用とか強そうでなんだか怖い、サプリとかで済ませたい
  • そもそも何科を受診したらいいのかわからない。耳鼻科??
  • …
花粉症だとスラスラとでてきませんか?こういう本音(≒insight)を書きだしていくときには「口語」で書くのがお勧めです。ここで例えば「通院負担」って書くと本音、気持ちも部分が一気になくなってしまいます。それが「忙しくてついつい病院にいくのを忘れて先延ばしにしてしまう」って書けば、背後にある気持ちも内包できます。本音殺しはInsight時代のMarketingにおいては大罪です。

続いては、医師のBrand Choiceについて考えてみましょう

医師のBrand Choice

まずは現在の抗ヒスタミン剤、どのBrandを使うのか?についての医師の考え、気持ちを想像してみましょう。「いやいや、あとで定性調査のインタビューするんだから、事前に考えなくてもいいでしょ?」意見もあるとは思いますが、私は定性調査でインタビュアーにProbeポイントや、聞きたいポイントをしっかりとインプットするためにも、定性調査前にBrand teamで考えることをお勧めしています。もちろん、医師ブログ、Twitterなんかも情報源になります。

抗ヒスタミン薬の選択理由

  • 効果が強いのは副作用も強いし、3つくらい頭において、患者さんの症状に応じてその3つから処方してる、種類が多すぎて分からないし、大差はないので
  • 患者さんがリクエストしたらそれを出してます。そもそも抗ヒスタミン剤にはあまり興味ないです
  • 正直、あまり違いがないのでMRさんとか会社の貢献が頭をかすめます
  • 抗ヒスタミン薬、点鼻薬、点眼薬、なんとなく頭の中でセットになって出してますね
  • 同じ薬だして患者さんに怒られたことないし、いつも同じ抗ヒスタミン薬です
  • 抗ヒスタミン薬の一覧を作成して患者さんに選んでもらってます。どれも大差ないし、患者さんに選んでもらったほうが問題起こりにくいですし
  • …
みたいな感じで、1000万人単位の患者がいろんな診療科(主に開業医)にくるので、花粉症といえば抗ヒスタミン薬、そんなに差がないし、そもそも興味がない、みたいな感じという仮説ができたとします。

既存品、競合がガチンコでシェア争いをしているような場合は、
  • 自社製品/競合製品についてどういうイメージをもっているか?
  • 自社製品/他社製品をどうやって使い分けているか?
を考えてみるのもお勧めです。

そして花粉症の新製品Xに戻ると、1回服薬するとザイザル並みの有効性・安全性で1カ月効果が持続く薬でした。ここで、「製品Xが発売されたら医師はどう思うか?」を想像してみるのもいいと思います。

製品Xの製品特性を見てどう思ったか?

  • 効果が1カ月持続するのは凄い、けど副作用がでたらそれも1カ月続いて途中でやめられない、そこが心配
  • 1カ月効果が続くなら飲み忘れなくていいね、その場で飲んでもらってもいいし
  • 1カ月効果続くような薬って、事前に1日1回の錠剤を一定期間試して、安全性を確認してから長期効果のある薬剤を服薬する場合あるけど、その縛りはないの?
  • 薬価高そう…
  • 2カ月効果持続したら、花粉症の季節に1回飲むだけでいいのに…2カ月だと2回飲まないといけないから患者さん、忘れそう
  • 1日薬価が既存薬とそんなに変わらないなら処方してみたい。花粉症の薬の値段に患者さんは敏感だから。
とか、色々なことが考えらると思います。

Pts journeyの各momentで医師、患者、時には患者家族、看護師、薬剤師がどう考えているか?製品Xが出たらどう思うか?を事前に考えておいて、まとめておくと、この後に控えているPts journeyの定性調査→定量調査で聞きたいこと、明確にしたいことがだいぶBrand Teamメンバーの中でも整理整頓されていくと思います。私はPts journeyごとにわかっていること、仮設、クリアにしたいことをLogic Treeみたいな形にして調査設計に役立てていました。

次のStepはいよいよPts journeyの市場調査(定性→定量)です。




(1) Insight時代のBrand plan:Pts journeyと定量化

 五月雨式に記事を上げていましたが、Insight marketing時代のBrand planの作成プロセスを最初から最後まで、可能な限り整理整頓して書かないと、と思い重い腰を上げました。既存Brandのplan作成も新製品発売のplanの基本的には同じProcessなので、ここではスギ花粉症の架空(そして現実ではあり得ない)新製品=”製品X”のLaunch planを例に具体的にBrand planを作成していきたいと思います。

  1. Pts journeyの定量化
  2. Pts journeyの定性化
  3. Pts journey定性調査、医師インタビュー 
  4. Pts journey定性調査、患者インタビュー 
  5. Pts journey定量調査、その前に 
  6. Pts journey、医師定量調査 
  7. Pts journey、患者定量調査 
  8. 調査結果をもとにPts journey定量化
  9. 定量化pts journeyとForecastモデル
  10. Pts journeyにinsightを!
  11. Current/desired peceptionを考えよう
  12. Insightワークショップをやってみよう!
  13. Segmentation、言うは易く行なうは難し
  14. Brand strategy:戦略って?KSF/CSFって?
  15. Sales Force Sizing:MRを何人に?(Digital時代を意識しながら)
  16. Data generation :  Brand Teamでどう取り組むか?
  17. Data generation workshopをやってみよう
  18. Brand Planまとめ:Senior managementへのプレゼンをしよう!

貴方はInsight Pharmaに転職し2年後に「アレルギー性鼻炎」の適応で発売される1回飲めば1ヶ月効く経口薬=製品XのLaunch leader(Marketing部門所属)として新しいPositionに就きました。状況としては

  • この製品がInsight pharmaにとって2製品目の上市
  • 既存の製品はパーキンソン病治療薬でMR40名体制で神経内科にPromotion
  • 製品XのP3試験の結果は安全性、有効性ともに良好な結果
  • 日本市場のメインのターゲットはスギ花粉症患者
  • 作用機序は抗ヒスタミン剤
  • 有効性、安全性はザイザルと同等
  • 1回服薬したら効果は1ヶ月持続
くらいの情報しかまだありませんし、アレルギー性鼻炎の情報はInsight pharma社にはまだありません。白紙を渡され、そこにLaunch Brand Planを作成しろ、と言われて何から手を付けたらいいのか、と戸惑うかもしれません。とにかく、まずはデスクリサーチで調べることから始めましょう

「アレルギー性鼻炎」「花粉症」で検索するのは簡単ですが、ここから「さらに何を調べたらいいのか?」が分からないと調べられないのです。闇雲に検索することも時には必要なんですが、まずはアレルギー性鼻炎、特に(スギ)花粉症の治療はどうなっているか?を調べるのが第一歩で、抜け漏れなく調べるために、Pts Journeyの流れに沿って定性・定量の両面で調べるのがお勧めです。


Pts journey、Customer journeyなどいろんな言い方がありますが、患者(顧客)が自社製品含む治療に至り、治療を継続する上流から下流までの流れ(Journey)を見える化したものがPts journeyです。よくあるパターンは上流から
  • Prevalence:(花粉症と気が付かずとも)花粉症の症状を自覚している≒有病率
  • Seek treatment:この症状を病院を主訴に医療機関にを受診する
  • 診断:花粉症と診断される
  • Treatment choice:薬物療法、その他療法レベルでどの治療が選択されるか
  • Brand choice:薬物治療をした場合、どの製品(自社製品)が選べれるか
  • Adherance:自社製品がどれだけ服薬継続されるか
みたいな流れが典型的なPts journeyです。最初の時点では分からないことは分からない「?」で残しておいて大丈夫です。分からないことは後で市場調査で調べればいいですから。

色々な情報を調べても忘れちゃうので、私はEXCELを使って調べた情報を記録しています。

「花粉症、患者数」で検索すると環境省のこんなページが出てきます。

花粉症の有病率が42.5%、スギ花粉症の有病率が38.8%という数字が得られました。日本の人口が1億2000万人くらいですから、花粉症の人が5000万人くらいいる、という計算です。注意したいのが「有病率」ということばで、42.5%が「医療機関を受診して診断されている人数から計算」したのか「疫学的調査を行って調べた」ので意味が変わってきます。

松原篤 他 日本耳鼻咽喉科学会会報123-487図2「許可を得て改変」

と書いてあるので、この元文献(?)を見に行くのが早そうなので、検索したら見つかりました。

「アンケート調査 の概略は,年齢,性別,居住する都道府県,スギ花粉 症,スギ以外の花粉症,通年性アレルギー性鼻炎の有 無,ならびに鼻以外のアレルギー性疾患の有無…」とあるので、これは疫学調査ですので、Pts journeyでいうところのPrevalence≒(症状の自覚がある)花粉症の人数が日本で約5000万人くらいいることが分かりました。

実際には「ほんとうにこの数字は正しいの?」ってのをダブルチェックするようにします。今回のこの数字は日本耳鼻咽喉科学会の1万人を超える大規模が疫学調査なので信ぴょう性は高そうです。(調査回答者が耳鼻科医の家族ってとこは、ちょっとバイアスかかっているかも、とは思いますが)

Prevalenceが分かったら、どんどん下流を調べていきます。「seek treatment=医療機関の受診」「診断」等々です。同様に検索するとこんな情報が
  • あなたは花粉症ですか?(n=1000)
  • 花粉症である(病院で診断された) 21.3%
  • 花粉症である(病院には行っていない) 19.5%
  • 花粉症だったことがあるが、現在は症状がない 6.2%
  • 花粉症になったことはない 39.9% 
  • 花粉症かどうかわからない 13.1%

n=1000でけっこう大規模な調査、20-60代の男女に無作為で聞いている感じだし信ぴょう性はありそう。「花粉症であると病院で診断された」人が21.3%なので、日本の人口1億2000万人×21.3%=2500万人くらいが「病院で診断された」ことがある=症状がある人の半分が花粉症と病院で診断されたことがあるってことです。

次はどんな治療をしているか?ですが同じ調査にこんなデータがありました。

「医者に処方された内服薬を飲む」が30.4%

ですが注意しないといけないのは%の分母は何か?で資料を見ると分母の n=408で自己申告で自分は花粉症だ、という人なのが分かりますので、5000万人*30.4%=1500万人くらいが「医者に処方された内服薬を飲む」と計算できます。ここで
  • 花粉症であると病院で診断された:2500万人
  • 処方内服薬の飲む:1500万人
って数字がでてきて「常識的に考えて、病院いったら花粉症の内服薬処方されるよな…ここで1000万人漏れる(病院行っても内服薬処方されない人が1000万人いる)のはおかしいよな…」って考えたかた、とてもいい感覚です。デスクリサーチの数字はまだまだざっくりなので、そこはその懸念をpts journeyにメモしておいて、今後の市場調査などで解決していったらいいのです。デスクリサーチ時点では「だいたいこんな感じ」という大枠を理解するのが大事です。

次は「薬物治療」なので直接の競合は同じ作用機序の抗ヒスタミン剤ですので、そのシェアや投与患者数を調べます。


によると、第二世代の抗ヒスタミン剤の売上が出てきますが、うーん、数が多くて難しい…売上トップのピラノアが165億円売上で、薬価が一錠71.3円→1日1回1錠服薬なので、花粉症は2ヶ月続く、年中アレルギーがあるから服薬してる人もいる→ざっくり平均投与期間が3ヶ月と仮定すると、250万人くらいが服薬してる計算に。欲しい情報は
  • 薬物治療薬中の患者の何%が抗ヒスタミン剤を服薬しているか?
なので市場調査などで調べるとして、とりあえずは「ほぼ全ての薬物治療患者が抗ヒスタミン剤を投与される」し「Topシェアの薬剤は100万人単位で服用している」くらいの規模間をイメージしたら、この時点では十分だと思います。製品Xの競合は「毎日服薬する抗ヒスタミン剤」って考えたら、ひょっとしたら抗ヒスタミン剤の各Brandのシェア%はたいして必要な情報じゃないかもしれません。

この先の服薬継続とかもまだ分からないし、OTC薬も普及してきているから「病院に行かない」人たちもpts journey に入れた方がいいな、って思うでしょう。市販薬=OTCではないですが

  • 市販薬を飲む=43.0%
  • 医療機関で処方薬をもらう=31.7%

あとは病院に行かない理由もあったりで使えそうな情報ですが、市販薬市場もかなり多そう。

ここまで調べたら情報をざっくりまとめるとこんな感じになります。

  • 花粉症市場は巨大
  • 処方薬市場(抗ヒスタミン剤)市場も巨大
  • 花粉症を自覚しても病院に行かない人は3500万人もいる
  • 市販薬を服薬してる人43%で処方薬の31.7%より多い
みたいなことが大雑把ですが分かります。この巨大な市場、競合ひしめくレッドオーシャン、さてどこから手をつけるか?pts journeyのどこがビジネスチャンスか?は基本的にはLeakageが多い=脱落している患者が多いところ=機会が大きいのですが、下流(Brand choice, 服薬継続…)は対応しやすく上流(疾患啓発、DTC)は対応が難しいので、only oneの画期的な製品でなければ、多くの場合はBrand choiceが一番取り組まないと行けないmomentになると思います。製品XのケースもまずはBrand choiceが一番の勝負ポイントだろうな、花粉症の季節は2カ月だし服薬期間を延ばすのは困難だろうし、ってなくらいのあたりはこの時点でつくと思います。

このようにPts journeyを定量化して、あとで実施する定量調査結果などを反映していくと、それがForeastモデルになるんで、Brand plan作成とForecastモデルはビジネスシミュレーションも考えると切っても切れない関係なのですが、それはまたの機会に。

ざっくりとPts journeyの定量化ができたので、次は定性的情報を追加していきましょう。

2023年4月2日日曜日

製薬Marketing研修とCase Study

 これまで多くのMarketing研修を行ってきましたが、ただ講義だけをしていても「なるほど、製薬Marketingはこういう感じなのか」という感触はつかめても、研修後に実務に学んだことを活かすのは難しいな、と感じています。そこで具体的な事例を使ったCase Studyを研修に使って参加者に取り組んでもらうと、学んだことの定着率は大幅にあがることを体感しています。

Case studyといえば多くのビジネススクールで使われているHarvard Business SchooleのCaseで検索すると製薬のケースが多く出てきます。外資系、日系問わず、日本で製薬会社に勤務しているBrand ManagerなどのMarketing担当者にHarvardのケースを使ったことがあるのですが、正直、うまくいきませんでした。英語というハードル、まだ日本以外のビジネスのケースしかないので、参加者の実務とは距離感があるためです。さらにはHarvardのケースのような有名なものは、いろんなところで使われていて、Google検索するとCaseの解答めいたものが出てきますし、流行りのChat GPTにCaseを取り組んでもらったらそれっぽいものをしっかりと出してくるんですよね、すごい時代になったものです。

講義だけじゃなく、実務に直結したケースでの研修を実施したい!って思った私がどうしたかというと、「パンがなければブリオッシュを召し上がればいいじゃない」みたいな感じで「適したケースが無ければ作ってしまえばいいじゃない」でした。

  • 日本語で
  • 日本の製薬ビジネスに直結した
  • 参加者がイメージしやすい、取り組みやすい
ケースを作ってMarketingの研修+Marketingスキルの評価を実施して、Brand ManagersのMarketing関連スキル、具体的には
  • 市場分析
  • Forecast
  • 戦略立案(Segmentation & targetting含む)
  • アクションプラン
  • KPI設定
  • …
をBrand ManagerたちにCase Studyに取り組んでもらい、フィギュアスケートのジャンプの評価のように基礎点5点±出来栄え点、みたいな評価項目をしっかりと決めて、可能な限り客観的・定量化してBrand ManagerたちにFeedbackを行い、Development planに反映する、という方法です。

オリジナルのケースを作成するのは、正直、かなりの手間ですがこれまでの参加者のフィードバックを聞くととても好評で
  • 製薬Marketingの全体感が理解できて自分の仕事に即活用したい
  • 自分の得意なスキル、足りないスキルが見える化された
  • Marketing全体の視点=Directorレベルの視点が掴めた
など多くのコメントをいただきまして、かれこれ過去、10以上の自作Case studyを作成して研修、Marketingのアセスメントを実行してきました。

実際にはCaseを作成するときは、参加者によって事前知識が結果に影響しないように、その会社では扱っていない領域のものを作成、あるいはその会社の将来でてくるであろう(現在はビジネスをしていない領域の)製品を使って、「こういう風なんじゃないか?」と考えて、Case studyには
  • 医師定性/定量調査結果
  • 患者定性/定量調査結果
  • 自社製品/競合製品の製品特性(P3結果)
を妄想しながら考えないといけないのですが、これは私の性分でそういうのを妄想して考えて、Caseにまとめ上げるのが楽しいので実はあまり苦ではないのです。

この自作のオリジナルCase studyを発展させた形で実現したのが、Top Talentの選抜研修で、1年間のProgramで、Phase1/2とかにある自社製品Xを使って「新薬Xの開発からCommercializationという製品life cycleを1年間で学び体験する」というコンセプトで、Marketingだけではなく、R&D、Salesのひとたちも参加しての研修を実施しました。コンテンツはこんな感じで

前半=R&Dパート
  • R&D開発のプロセス(P1-P3)
  • 候補新薬のビジネス評価(Forecast→NPV)
  • 薬価はどう決まるか?
  • 日本での臨床試験の実施計画
ここではR&Dの方々と協働して、R&Dの方々に講義もしていただいて、前半のケースでは「候補コンパウンドXとYがあります。どちらか1つしか開発できない場合、どちらを開発しますか?その場合、どのような臨床試験を組みいつごろ承認が得られそうですか?」というケースを作成し、参加者はGroup workで取り組んでもらい、6月にPresentationをしてもらいました。

後半=Commericialパート
  • P3結果が出た→ Forecastをもう一度
  • Earlyの市場調査結果(医師/患者/定性/定量)
  • Launch時にどのような組織で発売するか?(MR数など、SFE)
  • Pre-launch戦略
  • Launch後の戦略
  • どんなActivityをどんなチャネルを使って実施するか
  • KPIは?
後半パートはCommercializationのパートで、上市2年前でPhase3結果が出て、Brand Teamが立ち上がったくらいの時点を想定し上記のようなものをCase studyを通じて前半のR&Dパートと同様に加者はGroup workで取り組んでもらい、12月にPresentationをしてもらいました。

この研修方法だと、Marketingだけではなく「製薬ビジネスを1つのコンパウンドのライフサイクルを通じて」学ぶことができ、しかも自社製品の将来候補品なので、参加者の興味ども高くて、とても上手くいった研修だったと自画自賛しています。

オリジナルのCaseを作成するのは確かに手間で、時間も(お金も)かかるのですが、それ以上の価値がある質の高い研修や参加者のスキルアセスメントができる方法で、もっともっと多くのひとたちに広めたいな、と思っている次第です。

2023年4月1日土曜日

Positioningって何?

留学前はスズキという「日本企業でございます!」という会社で働いていたので、留学後に外資系製薬企業に入社したら、Marketing関連の用語の多さにびっくりしたことを覚えています。Segmentation, targetingなどはまだ言葉の意味、実際の内容が近く明確だと思うのですが

  • Positioning
  • Strategic intent
  • Strategic imperative
  • ・・・

あたりは汎用されているものの、どうも「Brand Planのtemplateにあるので、なんとなく語感に合わせて、それっぽい文章を作成している」ケースも多いのではないでしょうか?

特にPositioningって言葉は製薬業界でも汎用されていますが、実際にPositioning がなぜ必要で、どう役にたつか?を理解しているBrand Managerは少ないと思います。Google検索でTopにあがってきたPositioningの説明がこちら; 

「ポジショニング(英語:Positioning)とは、競合他社の製品と差別化を図り、顧客に対してアピールできるような自社製品の提供価値を決めるプロセスのことです。いうなれば、「チョコレートはA社の製品でなければダメ」「醤油を購入する際はB社の製品と決めている」というように、顧客の心の中に明確なポジションを構築する施策を意味します」https://www.utokyo-ipc.co.jp/column/positioning/

確かに間違いではないのですが、このPositioning=自社製品が適切な患者が届くための医師の認知、と製薬Marketing的に変換するとなりますが、ごちゃごちゃ長い文章で説明しても「イメージが沸かない」ので、私はPositioningを「顧客がそう脳内で認知してくれたら自社製品が選ばれる」状態=Desired perceptionだよ、と説明しています。



そして、現在の医師の認知「Current perception」と「(目指す)Positioning=Desired perception」のgapを埋める、医師の認知を変える→行動変容を促すってのがMarketingだよ、と説明しています。

過去いろんなBrandのPositioning statement(=Positioningを文章化したもの)を見ているとこのようなケースが散見されます。

  1.  ハイレベルすぎて「製品Xが私の第一選択薬」みたいなStatementになる
  2. 自社製品が差別化できるポイント訴求になっている

ハイレベルすぎて「製品Xが私の第一選択薬」みたいなStatement

「製品XがBestな治療選択肢、私の第一選択薬です」みたいなPositioning statementは耳障りはいいんですが、あまりにハイレベルすぎて全員が「確かにそうだ」と思ってはくれますが、具体的なアクションに繋がりません。強いて言えば「気合と根性で製品Xを医師の第一選択薬にする!」というアクションに…。このケースではCurrent perceptionも「製品Xは私の第一選択肢ではない」とPositioningの裏返しになっていて、医師の本音=Insightのかけらも入っていません。このようなハイレベルすぎて誰も反対しないけど、特に意味のない状態を私は「世界平和問題」と呼んでいて、世界平和は大事で誰もが望んでいることで「世界平和は大事」と皆が願っても、それだけでは世界平和は実現できないし、世界平和を目指す具体的な案が出てきません。せめて「製品Xは私の第一選択薬です、なぜなら…」の理由、医師の本音などがとても大事で、そこまで含めると「顧客のこういう認知をこういう風に変えないと」という具体案に繋がってきます。

自社製品が差別化できるポイント訴求になっている=(顧客ニーズを無視して)メーカー側が言いたいことの羅列

新製品がLaunchしてしばらくはもちろんメーカーが伝えたい製品特性、差別化ポイントを顧客に訴求するのは重要です。新製品の認知、製品特性の理解は処方獲得への第一関門、entry ticketです。それをCurrent perception、 Desired perceptionで書くとこんな感じです。

Launch時の上記Desired perceptionを目指すことによって、製品特性を理解して、製品特性に反応して処方してくれる医師」が処方開始してくれ、売上は伸びます。しかししばらくすると売り上げの伸びが鈍化してしまいます。この伸び悩みの原因は「活動が製品特性≒key messageの浸透」に注力しているが、医師の多くはすでに製品Xの製品特性≒key messageを認知している=Launch初期のDesired perceptionが実現されている状態なのです。ですので、これまでの「Desired perception」を考え直す、そのために、Insightを含んだCurrent perceptionを考え直す必要があって

この「製品Xは有効性、安全性、使いやすさも競合製品より優れているのを理解したが…」の…の箇所「なぜ一番良いって認識しているのに処方しないの?」の医師の本音=insightが分からないと、Positioning≒Desried perceptionを考えることができません。

具体的な例を示します。私自身もそうですがスギ花粉症に悩む患者さんは日本には何千万人もいます(私もその一人です)。巨大なスギ花粉症市場に多くの抗ヒスタミン薬がかなりの労力をさいて「花粉症は医師が処方する治療薬で楽になる、だから病院にいこう!」を目指して多くの労力を割いてきました。

私もスギ花粉症の患者なので「花粉症は医師が処方する治療薬で楽になる、だから病院にいこう!」というのは良くわかっていますし、私は実際に昔から病院に行って毎年抗ヒスタミン薬を処方してもらっています。が、病院に行かない多くのスギ花粉症の人はは

  •  病院にいって処方薬をもらえばよくなるのはわかっている
  • でも病院に行くのは待つし、手間だしお金かかりそう(具体的には知らないけどそういうイメージ)
  • そもそも何科を受信したらいいの?
  • そうこうしているうちに病院に行く前に花粉症の季節は終わって症状なくなる

 というような本音=Insightに基づいたCurrent perceptionが分かってきて、一文にすると 

「花粉症は医師が処方する治療薬で楽になる、だから病院にいこう!とは思うけど、忙しいしお金かかるし、面倒くさいし、ついつい毎年病院に行きそびれてしまう。そんなこんなしてると花粉症の季節が終わっちゃうんだよね」

 みたいな感じでしょうか。ここまで分かるとDesire percpetionはこのCurrent perceptionを乗り越えるようなものになり、ちょっと雑ですがこんな感じに

「花粉症は医師が処方する治療薬で楽になるし、どの病院、診療科に行くかも簡単にわかって、手間もないし、金銭負担も思ったより少ないんだ、これなら病院にいって花粉症の薬もらって治療したほうがいいよね」

ここまでくると具体的になると打ち手は「いかに病院にいくハードル下げるか?」が大事になってきて、お金の話、待ち時間の解決、と等々もいろいろなアクションを考えることができます。 

Segment毎にInsight、本音に基づいたCurrent perception=現在の顧客の本音、Desired Perception(≒Positioningt)を作って、そのギャップを埋める打ち手を考えるというのはとても有効だと思います。(Segment毎のPositioning Statementは許されない!というBrand Plan Templateも多いとは思いますが)

 あとGlobalや偉い人たちから「こんなPositioning Statementは長すぎるしダメだ!」って言われた場合は、少しそれっぽく「花粉症は医師の処方薬で症状がよくなり、病院にいく手間も感じない」くらいにスライド作成時は短縮してもいいと思いますが、実際の打ち手をBrand Teamで考えるときは、Statementが生々しいほうが具体的なアイディアが出やすいと思います。Insightはその本質ゆえに生々しいものなので。 

長いことこの説明をしたり、Marketing研修のワークショップで花粉症が身近で皆さんが理解しやすいので使ってきたんですが、現実の花粉症治療薬の世界では「病院に行くハードルが高い」を各社OTC薬に注力して解決している状況が今なんだろうな、と思います。

 Positioningという言葉は分かりやすいようで、分かりにくい。「耳障りのいいだけの」Positioning Statementではなくて「使える」「打ち手に繋がる」Positioning」じゃないと意味がないよね、というのは製薬Marketingに関わるひとたちにもっと意識されてもいいんじゃないかな、っていつも思っています。