2023年4月1日土曜日

Pts focusと製薬Marketingの意義

多くの製薬会社が「患者志向」「Pts focus」を掲げていまして、一方で製薬会社のSalesやMarketingの部署にいると「売上!売上!」とせっつかれる経験をして「本当にPts focus?」を考えているの?って疑問を持った経験がある方もいらっしゃると思います。私もそんな風に考え感じた一人でして「患者志向、Pts focus」はどう両立しているのか?を気持ち、Marketing目線で考えていきたいと思います。

患者志向、Pts focusを掲げる製薬会社のmissionは「新しい治療を開発し、患者さんの治療アウトカムを向上させる」ことです。この図のようにY軸に治療アウトカムをとると、市場に出す新しい薬剤、治療は患者さんの治療アウトカムを既存治療より向上させなければ市場に出す意味がありません(価格が安い、服薬しやすい、なども広義のアウトカムと考えていただきたく)


経済学でいうところの「市場が完全」で「情報の非対称性が無い」状況であれば、新製品を発売したら承認書や文献を通じて、その製品特性は当該疾患を治療している全ての医師に速やかに伝わり、適切な患者すべてが判別され、その薬剤が投与されるのですが、世の中、そんなに完璧じゃありません。だから、MRは説明会をし、医師にDTLをし、本社側ではDigitlal promotionを積極的に行い製品特性、Key messageの浸透を行うわけです。これもですので、MRの説明会やDTL、digital promotionも「適切な患者さんに届ける」ためのPts focusに沿った活動と言えます。


説明会、講演会、DTL活動…色々なことをしても、なかかな「我々が届けることができる最大の治療アウトカム」には届きません。「最大の治療アウトカム」ってのは数字にするのはなかなか難しいのですが、疫学データとP3試験結果から「〇〇人の患者さんには自社の製品Xが治療アウトカムを最大化する」ってアプローチで(推計)計算できます。あとはLaunch前に製品特性を提示しての市場調査(定量)を行い、そこでの処方以降=Peakの処方意向と解釈するのが自然なので、それらの情報を総合して「最大の治療アウトカム」を計算し、それが長期プランのピークシェア、ピーク処方人数になっているべきと思います。(実際のBrand planでは数字が政治で歪められることも多いですが)

SoV至上主義時代のMarketingではこのgapをパワー(量)で埋めて最大化しようとしました。


ターゲット医師に月8回訪問、接待等々…。ですのでSoV至上主義時代のMarketingの仕事はこんな感じでした。
  • ターゲット施設、ターゲット医師を特定
  • ターゲット施設、ターゲット医師への訪問頻度を設定
  • Key message浸透のための資材の作成
  • Key message浸透のための講演会など活動の計画と実施
  • Key message浸透、活動KPI tracking
これらは今でも重要な仕事ですね(特にLaunchからしばらくは)

現在=Insight marketing時代に入るとCOVID-19により面会が困難に、さらにDigital channelの浸透もあり、パワーで押し通してそのgapを埋めるのが効率的ではなくなってきています。SoV至上主義時代のMarketingで書いた通り、製品メッセージが浸透して、売上の伸びがどんなした状況で


パワー(活動、DTL量…)だけではなく、Insight=顧客の本音をMarketingが理解して、「製品Xが一番いいと思いすよ…だけど。。。」に続く部分のInsightをいかにMarketingが抽出し、理解し、戦略や活動を練っていくか?それをSales含めたBrand Teamで実行していくか?がMarketingに新たに加わった仕事であり、gapを埋めて治療最大化するためにMarketingの仕事は一段レベルが上がったと思います。


現在の製薬MarketingのDirectorクラスの人たちはSoV至上主義時代の成功体験が強い人たちが多く、Insight Marketingを腹落ちできている人はまだまだ少なく、Pharma MarketingのOJT、トレーニングもいまだにInsight Marketingを腹落ちできる形で提供できていないんじゃないかなと思っています。Insight marketingを製薬Marketingに、は私がpassionを持っているところなので、色々な研修、講演を企画していきたいと思います。

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